※2023年3月8日17時32分更新
金、金/ドル、銀、銀/ドル - テクニカル分析見通し
- 7日のニューヨーク金先物は下落したが、200日移動平均線を上回る水準を維持している
- 銀価格は、主要なサポートを割り込み、弱気に転じている
- 注目すべき重要な水準とは?



金価格のテクニカル分析見通し:中立
ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が7日、半期に一度の議会証言でタカ派姿勢を強めたことを受け、貴金属相場は弱含みな展開となっている。
パウエルFRB議長は、政策金利のピーク(利上げの最終到達点)は予想していたよりも高水準になる可能性が高く、FRBは必要であれば利上げペースを加速する用意があると述べた。パウエル議長は1カ月前、「ディスインフレのプロセスが始まった」との認識を示し、米雇用統計が好調な労働市場を示したにもかかわらず、積極的なタカ派姿勢は見せなかった。7日に議長のタカ派色が強まったことを受け、米2年物国債利回りは2007年以来の高水準に達し、貴金属相場には足かせとなった。
3月21、22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)の利上げが実施される確率が高まり、米金利先物市場では、パウエル議長の証言前は5.48%だった政策金利のピーク(利上げの最終到達点)は現在、9月には5.63%に達すると織り込まれている。現在のFRBの政策金利である4.50-4.75%を100bp近く上回る水準だ。1月末時点でのピーク予想は5%だった。
金/ドル (XAU/USD) 日足チャート
資料:TradingView
今後、市場が注目するのは、3月10日に発表される米雇用統計と3月14日に発表される米消費者物価指数(CPI)だろう。2月の米非農業部門雇用者数(NFP)は22万4,000人の増加と、1月(44万3,000人増)からは伸びが鈍化する一方、失業率は引き続き、50年来の低水準である3.4%付近を維持すると予想されている。2月のCPI上昇率は前年同月比で6.0%と、これも1月(同6.4%)から減速すると見られているが、コアCPI指数は前月比0.4%上昇と、1月(同0.5%上昇)とほぼ同水準になると予想されている。予想を上回る強い内容となれば、引き続き貴金属相場の重しとなる可能性がある。
金/ドル (XAU/USD) 240分足チャート
資料:TradingView
ここ数日、金/ドルは、2月下旬からの水平トレンドライン(1,847付近)と2月上旬の安値1,860が収束した天井を上方ブレイクするに至っていない。詳細は、3月6日掲載の記事「金価格見通し:パウエルFRB議長の証言待ち」をご覧ください。この前には、力強いサポートである、89日移動平均線と重なる2月末の安値1,804から反発した経緯がある。
金/ドルが重要なサポートゾーンである1,774-1,786を下回らない限り、テクニカル分析見通しは中立を維持する。このゾーンには、昨年11月中旬の安値1,774、昨年11月から2月にかけて上昇した分のリトレースメント50%の水準、200日移動平均線が収束している。このエリアを割り込むと、2022年末からの上昇トレンドが頓挫することになる。
銀/ドル (XAG/USD) 日足チャート
資料:TradingView
銀価格のテクニカル分析見通し - 弱気
銀/ドルは、21.25付近に位置する昨年10月からの水平トレンドラインを割り込み、4カ月続いた上昇トレンドの終了が確認された。この弱気なブレイクにより、昨年9月の安値17.50に向かって下落するリスクが出てきた。当面の天井である7日の高値21.30を突破しない限り、銀/ドルは横ばいまたは下降する公算が大きい。
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--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著