※2023年4月20日13時36分更新
ユーロ、ドル、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ユーロ/英ポンド – 見通し
- ユーロ/ドルの広範なトレンドは引き続き上向きだが、短期的には一服する兆候が見られる
- ユーロ/英ポンドとユーロ/円は、確立されたレンジ内での推移が続いている
- ユーロ/ドル、ユーロ/英ポンド、ユーロ/円の見通しとは?



欧州中央銀行(ECB)による追加利上げへの期待が高まっているが、ユーロは厳しいレジスタンスに直面しており、対ドルでの上昇は失速する可能性がある。
銀行セクターに関する懸念が和らいだため、ECBによる追加利上げへの期待が高まっている。さらに、ECB当局者からは最近、タカ派発言が相次いでいる。ドイツ連邦銀行(中央銀行)のヨアヒム・ナーゲル総裁は、急速な物価上昇が定着する危険性があるため、ECBは利上げを実施する必要があると述べた。フランス銀行(中央銀行)のフランソワ・ビルロイ・ド・ガルハウ総裁は、今後の会合で利上げを実施する余地があると述べ、ECBのチーフエコノミスト、フィリップ・レーン氏もこれに賛同した。
ユーロ/ドル 週足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
ユーロ圏のコアインフレ率は3月に5.7%上昇と、過去最高を更新した。ピークに達する前にまださらに上昇する可能性がある。ユーロ圏の長期的なインフレ期待は1カ月ぶりの高水準に上昇した。その結果、市場は現在、9月までに25ベーシスポイント(bp)ずつ3回程度のECBによる利上げを織り込んでおり、次回の理事会での25bpの利上げは完全に織り込んでいる。同時に、5月の米連邦準備制度理事会(FRB)による25bpの利上げ実施の可能性は84%に達している。
ユーロ/ドル 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
中国の国内総生産(GDP)は予想を上回り、ユーロ圏は、世界第2位の経済大国である中国の製造業と結びつきが強いことから、ユーロを下支える要因になった。今年1-3月期の中国の経済成長率は前年同期比4.5%増加し、予想(同4%)、前期(同2.9%)を大きく上回った。
ユーロ/ドル:上昇トレンドは維持も、息切れの兆候
日足チャートでは、(トレンド/モメンタム指標に基づき)色分けされたローソク足チャートが示すように、ユーロ/ドルのトレンドは依然として上向きである。先月、1月の安値1.0480という強いサポート近辺から反発したことで、昨年9月以降の高値圏での高値・底値の切り上げパターンが維持されている。
ユーロ/ドル 240分足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
とはいえ、ユーロ/ドルは、200週移動平均線(現在1.1200付近)からそれほど離れていない位置にある2月初旬の高値1.1035という厳しいレジスタンスに直面している。週足チャートでは弱気のダイバージェンス(価格上昇時に14週相対力指数は平坦化)が示現しており、ユーロ/ドルの1カ月にわたる上昇は勢いが弱まっていることを示唆している。しかしながら、価格が240分足チャート上で1.0800-1.0900エリアを上回る水準を維持している限り、上昇圧力が弱まることはないだろう。
ユーロ/円:レジスタンスが控える
ユーロ/円は今月、3月上旬から続く水平トレンドラインという重要なレジスタンス(145.50付近)を上方ブレイクしたことで、2022年5月を始点とする上昇中のチャネル内で推移しつつ、短期的なトレンドは上向きなことが確認できた。しかし、昨年10月の高値148.40を上方ブレイクしない限り、より広範なトレンドはせいぜい横ばいからわずかな上昇程度にとどまるだろう。上値ではチャネルの上端(現在150.50付近)にレジスタンスが控えている。
ユーロ/円 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
ユーロ/英ポンド:レンジ相場
ユーロ/英ポンドは、2023年に入ってから基本的にレンジ相場となっている。レンジの上辺は0.8900付近の水平トレンドライン、下辺は200日移動平均線近辺が重なる1月からの水平トレンドラインがある0.8700付近である。このレンジをブレイクアウトした場合、抜けた方向に0.0200(レンジの幅)動く可能性がある。
ユーロ/英ポンド 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
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--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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