※2023年5月11日8時35分更新。
銅、コッパ―、コモディティ、商品、中国、景気後退―トーキングポイント
- 銅先物価格は4.1995への上昇を見込む
- 銅価格に影響がある中国経済活動再開は緩やかに進展
- 銅先物ポジションはロングポジションの積み増し余地
中国貿易統計は強弱入り混じるが、、、
中国貿易統計が9日公表、輸入が予想に反して大幅に低下したことが明らかになり、中国の経済再開（リオープン）の進展が遅れていることを示唆した。
しかしながら、中国リオープンは緩やかであるものの進展している。中国の「電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資残高」を基に作られた中国経済を推し量るための指数である李克強指数は２月末までのデータであるが、底打ちの兆しを示している。日本の中国向け工作機械受注も底打ちの兆しが見えつつあり、緩やかではあるものの中国経済の回復が進展していることを示唆している。
資料：BloombergよりDailyFX.comが作成。
資料：BloombergよりDailyFX.comが作成。
また、中国貿易統計は輸入の予想外の減少を示したものの、銅の輸入が回復しつつあることを示し、中国の経済回復が遅れているものの、緩やかに進展していることを示唆した。中国は世界最大の銅消費国であり、中国景気の回復は銅市況にも大きな影響を与えることが見込まれるが、銅価格の今後の見通しは？また、銅価格は「ドクター・コッパ―」の異名があり、世界景気の先行きを示す先行指標とも言われている。銅価格の動向は世界経済、そして通貨、株式、債券といった各資産の動向を占う上でも重要である。
資料：BloombergよりDailyFX.comが作成。
銅価格：レジスタンス4.1995に向けて上昇
銅先物の投機筋のポジションを確認するとネットでショートである。投機筋は銅価格に対して弱気であることを示唆しているが、2022年来ではほぼ最大のネットショートとなっており、一段のショートポジションの積み増し余地は限定的である一方、ショートポジションの解消に伴って、銅価格の上昇圧力となる可能性がある。
資料：BloombergのCFTCのデータよりDailyFX.comが作成
経済活動において広く活用される銅の価格は世界経済の影響を強く受ける。世界一位の経済規模を誇る米国では今後12カ月以内に景気後退に陥る確率が約70％と金融市場で予想されている。既に金融市場の参加者の大半が今後米国景気後退、世界景気の減速を織り込んでいることから、実際に世界景気が減速に向かった場合でも、金融市場の先取りする性質から銅価格は下落しない可能性がある。
資料：BloombergよりDailyFX.comが作成。
週足チャートでは下落トレンドの反転を示唆するダブルボトムパターンを形成、同パターンから4.3405までの上昇が見込まれる。また、それまでの上昇継続を示唆する上昇レクタングルパターンを形成しており、現在はパターンのサポート（3.8220）近辺で推移している。
銅価格（HG1!）週足チャート
資料：Trading View
一方、日足チャートを確認すると、2月下旬以降3.8220～4.1995でのレンジ相場で推移している。週足チャートは上昇を示唆しており、日足チャートも2月中旬からのレンジ相場の下限近辺で推移していることから、水平レジスタンスである4.1995への上昇を見込む。一方、金融不安や米国債務上限問題に対する懸念が高まり、投資家のリスクセンチメントが悪化した場合、水平サポートラインである3.8220を下方ブレイク、１月安値の3.7085へ下落する可能性がある。
銅価格日足チャート
資料：Trading View
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著
