※2023年5月8日16時50分更新
英ポンド/ドル、英ポンド – 見通し
- 英ポンド/ドルは、英中銀の金利発表を前に、重要なレジスタンスを上方ブレイク
- 英ポンド/ドルの中期的な見通しは引き続き、明るい
- 注目すべき手掛かりとは?



先週、英ポンドが対ドルで重要なレジスタンスを上方ブレイクしたことは、英ポンド/ドルの中期的な見通しが転換する可能性があることを示すもう一つのサインである。
11日にイングランド銀行(BOE、中央銀行)の金融政策決定を控える中、英ポンドはドルに対して1年ぶりの高値まで上昇した。4月の米非農業部門雇用者数は予想外に増えたものの、3月の数値が下方修正されたことによってその好調さは影を潜め、米連邦準備制度理事会(FRB)は年末までに75ベーシスポイント(bp)の利下げに動くという市場の予想はそのまま維持された。
英国のインフレ圧力は依然として強い。3月の消費者物価指数(CPI)総合指数は前年同月比10.1%上昇と予想を上回り、昨年10月に記録した40年ぶりの高水準である11.1%に接近した。そのため、BOEは11日に政策金利を25bp引き上げ4.5%にするというのが大方の予想である。市場は、ターミナルレート(金利の最終到達点)は5%近いと織り込んでおり、それを確認する手掛かりを探しているように見受けられる。積極的な引き上げとなれば、英ポンドを押し上げる可能性がある。
英ポンド/ドル 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
さらに、英国のマクロ経済指標はここ数週間、予想を上回っており、英国のエコノミック・サプライズ指数は2年ぶりの高水準であるのに対し、米国のそれは3月末から低下している。この点に関しては、FRBが先週、金利を引き上げ、利上げ停止の可能性を示唆したため、10日に発表される米消費者物価指数(CPI)が非常に重要となる(4月のコアCPI上昇率は3月の5.6%から5.5%に軟化すると予想されている)。市場では、BOEは今年利下げしないと予想されており、米英の相対的な金融政策見通しは今のところ、英ポンドの支援材料となっている。
英ポンド/ドル 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
テクニカルチャートでは、英ポンド/ドルが1.2450付近で2022年末からの水平トレンドラインを決定的に上抜けたことで、横ばいチャネル(チャネル下端は1.1840付近の水平トレンドライン)からのブレイクアウトを引き起こし、このチャネルパターンの幅をベースとした1.3000-1.3100に向けて上昇する可能性を示唆している。
先週の英ポンド高により、2022年後半からの高値圏での高値・安値の切り上げパターンが継続されていることが確認された。
英ポンド/ドル 週足チャート
資料:TradingView
トレンド/モメンタム指標に基づく色分けされたローソク足チャートが示すように、英ポンド/ドルのトレンドはここ数カ月、強気である。価格が週足チャートの一目均衡表の上端を上回ったことで、このトレンドはさらに強化されている。英ポンド/ドルは現在、89週移動平均線という手堅いレジスタンスを試している。前回、この平均線を決定的に上回ったのは2021年だった。200週移動平均線(現在1.2870付近)が次の レジスタンスとして控えている。
下降局面では、4月中旬の安値1.2350がかなり強いサポートとなる可能性がある。1.2350を下方ブレイクしない限り、短期的な上昇の勢いは弱まらないだろう。
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--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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