金融政策、日本銀行、円高リスク、オプション、USD/JPY―トーキングポイント
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ドル円:円高警戒感の解消でドル高円安へ
27、28日にかけて植田日銀総裁のもとので初の金融政策決定会合が開催。日本銀行総裁・副総裁就任会見等で当面の金融緩和維持が妥当との発言をしたこともあり、早期の金融政策修正観測は後退している。しかしながら、内田日銀副総裁が発言した通り、日銀の金融政策の中で副作用が懸念されているイールドカーブコントロール政策(YCC)は事前に金融市場に織り込ませることは難しいため、今回の会合で政策修正を実施する警戒感は一定程度燻っている。
ドル円の通貨オプション(1週間物)から算出されるリスクリバーサルはマイナス幅を拡大(円コールオーバー、円高への警戒感高い)しており、インプライドボラティリティも急速に上昇(ドル円の急変動に対する警戒感強い)している。日本銀行が本会合でYCC政策の修正、金融緩和縮小との思惑から円高が進行することへの警戒感を示唆していよう。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成
一方で、日銀が現行の金融政策維持を決定した場合、円高警戒感が和らぐ結果、円安が進行する可能性があろう。また、5月3日に米FOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、利上げ実施が予想されている。FRB(米国中銀)はその後、年末にかけて利下げを実施することが金融市場で織り込まれている。しかしながら、26日発表の米国耐久財受注が示した通り、米国景気は底堅く推移しており、FOMCに向けて利下げ織り込みが剥落、FRBの金融引き締めスタンスが織り込まれていき、米ドル高要因になる可能性がある。
26日発表米国経済指標

資料:DailyFX.com 経済指標カレンダー
日銀が金融政策の維持を決定した場合、日米の金融政策格差が意識され、米ドル高円安の進行を見込む。テクニカル面では、米ドル円の日足チャートは一目均衡表の強いレジスタンスとなっていた雲の上限を上抜け、米ドル高円安トレンドを示唆する三役好転が成立した。日銀が金融政策の維持を決定した場合、一段とドル高円安トレンドが鮮明となり、年初来高値の138円を試す展開が想定される。一方、日銀が金融政策修正を実施した場合、心理的節目でありサポートラインとなってきた130円で維持されるか注視したい。
米ドル円日足チャート

資料:Trading View



-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著