FOMC、ECB理事会、オーストラリア準備銀行、雇用統計―トーキングポイント



金融政策決定会合
植田日本銀行総裁のもとでの初の金融政策決定会合は現行の金融政策の維持が決定された。各国の金融政策に乖離が見られる中、5月1日の週はオーストラリア(RBA)、米国(FRB)、欧州(ECB)、ノルウェー(Norges bank)の中央銀行が金融政策決定会合を開催。FRB、ECBに市場の注目が集まっているが、前回会合で利上げ停止を決定した一方、利上げも活発に議論していたRBAの決定にも注視したい。利上げ再開を示唆した場合、豪ドル高が進む可能性がある。

資料:Daily FX.com 中央銀行カレンダー より抜粋

資料:Trading Economics
米国
景気の先行指標であるISM製造業・サービス業PMIに加え、雇用統計が発表されるが、最重要であるFRB(米連邦準備制度理事会)がFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催。利上げが予想されているが、今後の金融政策スタンスに注目が集まる。金融市場では、年末にかけての利下げが織り込まれているが、利下げを否定するような政策スタンスを示した場合、米金利上昇、米ドル高が進展する可能性がある。




資料:Trading Economics
ユーロ圏
最重要である欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。金融市場ではECBの利上げ継続を織り込んでいるが、近い将来の利上げ停止を示唆した場合、欧州金利低下、ユーロ安が進展する可能性がある。その他、ユーロ圏、イタリアでインフレ指標が発表される。5月2日のユーロ圏コアインフレ率はECB理事会前に公表されるため、ECB理事会の結果を占う上でも重要であろう。インフレ鈍化が確認された場合、欧州金利低下、ユーロ安圧力となる可能性がある。



資料:Trading Economics
中国
景気の先行指標であるPMIが公表される。中国リオープン(経済再開)の進展具合について示唆が得られよう。リオープンが順調に進展していることが確認された場合、資源価格や豪ドル、カナダドル等の資源国通貨の上昇要因となる可能性がある。


資料:Trading Economics
豪州&ニュージーランド
豪州では金融政策決定会合が開催。前回会合にて主要中銀の中でカナダに続き利上げ停止を決定した。今週発表されたオーストラリアのインフレ率はインフレ鈍化が緩慢なものに留まっていることが示された。利上げ再開を示唆した場合、豪ドル高が進展する可能性がある。ニュージーランドでは雇用統計が発表。ニュージーランド準備銀行は主要中銀の中で金融引き締めスタンスが明確であるが、20日公表のインフレ率は市場予想を超えるインフレ鈍化を示した。来週公表の雇用統計も軟調な結果となった場合、早期の利上げ停止が意識され、ニュージーランド金利低下、NZドル安が進展する可能性がある。その他、5月5日にオーストラリア準備銀行(中央銀行)は金融政策に関する四半期報告を公表。今後の金融政策に関する示唆が得られる可能性がある。金融政策決定会合同様、利上げ再開を示唆する内容であった場合、豪ドル高が進展する可能性がある。



資料:Trading Economics
カナダ
景気の先行指標である製造業PMIや雇用統計が公表。カナダ銀行(中央銀行)は主要中銀の中で最も早く利上げ停止をした中央銀行である。しかしながら、マックレム中銀総裁は利上げ再開の可能性について言及している。カナダの労働市場が逼迫していることを示す内容であった場合、利上げ織り込みが進展、カナダドル高に寄与する可能性がある。



資料:Trading Economics



-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著