ポンドドル、目先の展望と取引戦略
【サマリー】
- 米ドル安によるポンドドルの上昇トレンドはひとまず終息している
- 目先のポンドドドルはショート戦略(ポンド売り/米ドル買い)を考えたい
- 通貨オプション市場の動きを見る限り昨年のようにポンドドルが急落する可能性は低い
- ポンドドルの売買を仕掛けたい水準とタイミングについて
ポンドドルの展望: 上昇の勢いが低下
現在の状況
現在のポンドドル(GBPUSD)は、1.21が強固なレジスタンスとなり相場の上昇を止めている。
テクニカルの面では21日線(MA/1.2130レベル)が意識される展開となっている。
節目の1.20を割り込む局面が見られたこと、23年前半は米国を含めた世界の株式市場が引き続き不安定な状況が続く可能性があること(リスク回避相場が警戒される状況にあること)、そして米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレリスク対する警戒レベルの高さと23年中の利下げを予想するFOMCメンバーがいないことを考えるならば、昨年10月以降、米ドル安にサポートされたポンドドルの上昇相場はひとまず終息したと考えたい。
下落幅は限定的
しかし、ポンドドルが下値トライとなっても、昨年のような急落の局面が発生する可能性は現時点では低い。
通貨オプション市場のリスクリバーサル(1ヶ月/25デルタ)に大きな変動は見られない。そして予想変動率は11%を挟んで横ばい推移となっている。
昨年からのこれらのトレンドを確認すると、ポンドドルの下落幅が拡大する局面では、リスクリバーサルの急低下と予想変動率の急上昇が発生している。
しかし現在は、リスクリバーサルが落ち着いた動きとなっており、予想変動率は低下基調にある。これらの動きは、ポンドドルが下落しても急落する可能性が低い状況にあることを示唆している。
ポンドドルのチャート
チャート:Bloomberg/ 日足(2022年~)
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ポンドドルの取引戦略
ショート戦略:ポンド売り/米ドル買い
ポンドドルの上昇の勢いが衰えていることは、モメンタム(12日)でも確認できる。一時ゼロライン付近まで上昇する局面が見られたが、昨年12月14日にポンドドルが高値1.2447レベルを付けた後、モメンタムは低下基調にある。
上昇の勢いが衰えていることを考えるならば、目先のポンドドルはショート戦略(ポンド売り/米ドル買い)を意識したい。
指値のショートを考えるならば、1.2100レベルもしくは21日線が推移している水準を狙いたい(今日ならば1.2130台)。
一方、成行きのショートならば、今月3日の下落をサポートしたフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準1.1950レベルまたは50日線(MA)が推移する水準のブレイクを確認してから仕掛けたい。
安全策を取るならば、これらテクニカルポイントをブレイクした後の戻り局面で、2つのうちどちらかのポイントがレジスタンスへ転換したことが確認される場合に、成行きのショートを仕掛けたい。
なお、23.6%戻しか50日線の“レジスタンス転換”が確認される場合、ポンドドルはフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準1.1640レベルを視野に下落幅が拡大する可能性が出てくる。
※上で述べたテクニカルポイントについては、下の日足チャートを参照
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 3% | -7% | -3% |
週次 | 4% | -10% | -5% |
ロング戦略:ポンド買い/米ドル売り
ポンドドルのロング戦略(ポンド買い/米ドル売り)を考えるならば、短期の成行き買いを狙いたい。
具体的には、上で述べた1.21レベルや21日線のブレイクを確認した後に成行き買いを仕掛けたい。
または、ポンドドルが下落する局面で、フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準(1.1954レベル)や50日線(1.1940レベル)で相場の反転が確認された後に成行き買いを狙いたい。
上昇の勢いが衰えていることを考えるならば、利益確定や損切りを問わずロングポジションは短期で仕切ることを意識したい。
ポンドドルのチャート
チャート:TradingView / 日足(昨年9月下旬~)