カナダドルの見通し
- 米国雇用統計はまちまちな一方、カナダ雇用統計は力強い内容
- カナダドルは対円で下落、対米ドルの反応は限定的で、カナダドルの地合いの悪さを確認
- 為替/外為/FX:カナダドルは中銀のハト派スタンスを受け、引き続きカナダドル安が進展する見込み



カナダの雇用統計は力強い結果となるも、反応は限定的
10日金曜日は、米国、カナダにて雇用統計が発表された。米国では、非農業部門雇用者数は市場予想を上回ったものの、賃金の伸びが市場予想を下回ったことを受け、FRBによる利上げ観測が後退、米国債利回りは大きく低下した。また、米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻を受け、金融機関に対する信用不安が高まり、金融株中心に米国株式市場は大幅下落した。投資家のリスク回避姿勢の高まりを受け、安全資産通貨である米ドルが上昇する局面があったものの、米金利の低下を受け、米ドルが幅広い通貨に対して下落した。
カナダでは、先週金融政策決定会合が開催され、主要先進国で初の利上げ停止が決定された。金融政策決定会合以降、初の重要指標となるカナダの雇用統計では、雇用者数変化(2.18万人)、失業率(5.0%)ともに市場予想と比べて良好な内容となり、カナダの雇用市場が底堅く推移していることを示す結果となった。
カナダ雇用統計

チャート作成:Daily FX、資料:Bloomberg
加雇用統計は力強い内容であったもの、カナダドルは、対円で下落、対米ドルでも反応は限定的となり、カナダドルの地合いの弱さが確認された。米銀破綻に伴う信用不安に加え、今週の米国消費者物価指数の発表を控える中、カナダドル安基調の継続が予想される。
USD/CAD:米ドル高カナダドル安
米FRBと加中銀の金融政策の乖離も明確であり、過去1年の高値:1.398へ向けて米ドル高カナダドル安の進展を見込む。一方、中国経済の回復に伴い原油価格が上昇した場合、米国の利上げ観測が一段と後退した場合、またカナダ中銀が利上げ再開にスタンスを大きく変更した場合は、逆にカナダドル高が見込まれる。カナダドル高が進展する場合、2022年末から2023年1月初旬にかけてレジスタンスとなっていて、サポートラインへ転換した1.365近辺が下値の目途になりそう。
USD/CADの日足チャート

資料:Trading View
CAD/JPY:カナダドル安円高継続
20日移動平均線を割り込んでおり、カナダドル安円高トレンドが鮮明になっている。また、日銀の金融政策変更を巡る不確実性が台頭している中、日銀とカナダ中銀の金融政策スタンスの違いが、カナダドル日本円の上値を抑えよう。2023年1月中旬の95円半ばを超えると、2022年2月の90円近辺までサポートが見つからず、カナダドル安円高が一段と加速する展開が視野に入る。
CAD/JPYの日足チャート

資料:Trading View
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--- DailyFX Japan著