FRB、ECB、米ドル、ユーロ、円、金融政策決定会合―トーキングポイント
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米国 vs ユーロ圏~二大巨頭の戦い~
植田日銀総裁のもとので初の金融政策決定会合は現状維持となり、早期の金融政策修正観測が後退した。日本時間4日早朝はFOMC(米連邦公開市場委員会)、4日夜にECB(欧州中央銀行)理事会の結果が公表される。FRB(米連邦準備制度理事会)及びECBは共に利上げを実施するものの、FRBはその後年末にかけて利下げ、ECBは金融引き締め継続スタンスを示すことが見込まれている。FRBが利下げ期待を後退させるようなスタンスを示したり、ECBの近い将来の利上げ停止が示唆された場合は、為替/FX市場の大きな変動要因となろう。
通貨オプションから算出される為替の今後1週間の予想変動率(インプライドボラティリティ)を確認すると、ユーロドルの為替変動に対する警戒感が強い。FRB、ECBの今後の金融政策に対する不透明感が高く、ユーロ高、米ドル高どちらの方向にも大きく変動する可能性があることを示唆しているが、米ドル円及びユーロドルの想定される展開は?

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。
米ドル円見通し
通貨先物の円のポジション(投機筋)はネットショートであるものの、過去と比べて極端な水準ではない。通貨先物ポジションは米ドル円にとって中立である。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。
米ドルドル円は、FRBが年内利下げを否定しなかった場合、米ドル安円高が進展し、心理的節目であり強固な水平サポートラインである133.718へ下落(米ドル安円高)する可能性がある。一方、FRBが年内利下げを否定した場合や高金利を当面維持することを示唆した場合、日米の金融政策格差が顕著になり、米ドル高円安が進展し年初来高値である137.911円(米ドル高円安)を上抜け、心理的節目であり水平レジスタンスである140円ちょうどが視野に入る。
米ドル円日足チャート

資料:Trading View
ユーロドル見通し
通貨先物ポジション(投機筋)はユーロのロングポジションが大きく積み上がっている。一段のロングポジションの積み増し(ユーロ高米ドル安要因)は難しく、ポジション動向からは一段のユーロ高米ドル安は見込みづらい。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。
ECBが一段の金融引き締めを強く示唆した場合やFRBが年内利下げを示唆した場合、ユーロ高米ドル安が進展し、2022年3月の高値である1.11849が視野に入る。上方ブレイクした場合、フィボナッチリトレースメント61.8%水準(2021年1月から2022年9月までの下落に基づく)の1.12673へ上昇する可能性がある。一方、FRBが年内利下げを強く否定した場合やECBの近い将来の利上げ停止が示唆された場合、ユーロ安米ドル高が進展しよう。水平サポートラインである1.08366への下落が視野に入る。下方ブレイクした場合、3月の安値である1.05161が視野に入る。
ユーロドル日足チャート

資料:Trading View



-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著