原油価格、中国、経済活動再開、先物ポジション―トーキングポイント



中国リオープンが原油価格をサポート
18日に発表された中国GDP成長率等の結果は中国のリオープンが順調に進んでいることを示唆する内容となった。

資料:DailyFX.com経済指標カレンダー
日本のコマツはコマツ製建設機械の1台当たりの月間平均稼働時間(前年比)を月次Komtraxデータとして公表している。速報性が高く、中国の製造業活動を反映している指標である。稼働時間は2月、3月と前年比プラスの伸び率であり、中国の製造業活動がリオープンに伴い本格回復しつつあることを示唆している。

資料:月次KomtraxデータよりDailyFX.comが作成
世界有数の資源需要を持つ中国の資源価格に対する影響は大きい。中国の景気回復が進展するにつれ、原油等の資源価格が上昇する可能性があるが、今後の原油価格の見通しは?
原油価格見通し:テクニカル面を踏まえ中立
原油先物市場の投機筋によるネットロングのポジションは2016年来の低い水準である。ロングポジションが極端な場合、ポジション解消に伴い、原油価格に下落圧力となる。逆にショートポジションが極端な場合、ポジション解消に伴い、原油価格に上昇圧力となる。また、現在はロングポジションが歴史的に低い水準であり、投機筋がロングポジションを積み増す余地がある。ロングポジションの積み増しは原油価格の上昇圧力となる。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成
テクニカル面では、原油価格(WTI原油先物)は強固な水平レジスタンスとなっていた82.70ドル(1バレル)を一時上抜けたものの、その後反落し、9日指数移動平均線上で推移している。
原油価格日足チャート

資料:Trading View
4時間足チャートでは、9、20、50、200期間指数移動平均線が上向き、かつ上から順に並ぶ強気の「パーフェクトオーダー」が崩れている。中国の経済指標やコマツが公表している月次Komtraxは中国のリオープンが順調に進んでいることを示唆しているものの、テクニカル面は上昇の勢いが衰えていることを示唆している。また、5月米FOMCに向け、FRBの年末にかけての利下げ織り込みが剥落、米金利上昇が進展し原油価格に逆風となる可能性がある。中国の景気回復が進展するにつれて原油価格が一段と上昇する可能性はあるものの、テクニカル面や米金利上昇のリスクを勘案し、中立の見通しとする。
原油価格4時間足チャート

資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著