ポンド円のチャート分析と取引戦略
【サマリー】
- 現在のポンド円は、ユーロ円ほどドル円の下落の影響を受けていない
- ゆえに相場のモメンタムにも明確なトレンド(勢い)は見られない
- ポンド円の買いを仕掛ける場合は、2つの移動平均線の水準を意識したい
- ポンド円の売りを仕掛ける場合は、成行きと指値でエントリーの水準が違ってくる
注目ポイント:ドル円の影響度合いが低いポンド円
今日のIG為替レポートでは、ユーロ円について取り上げた。
そこで指摘したことは、現在のユーロ円はドル円の下落の影響を受けていることである(詳細はこちらを参照)。
一方、ポンド円とドル円との間には、ユーロ円とドル円のような明確な相関関係が見られない。
この点について、ドル円のトレンドが上昇から低下へ転じた10月21日以降の相場と各通貨ペアの相関係数で確認すると、ドル円とユーロ円の相関係数は0.61とかなり高い(下チャートの赤枠)。
対照的にドル円とポンド円のそれは0.24であり、相対的にかなり低いことがわかる(下チャートの青枠)。
ドル円、ユーロ円、ポンド円の相関係数
基準日:10月20日 / データ数:27(対数差分)
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -2% | 2% | 0% |
週次 | 12% | -16% | -6% |
また、ドル円、ポンド円、ポンドドルの相関関係との比較でも、対ドル円の0.24に対して対ポンドドルのそれは0.46となっており、やはりドル円の影響度合いの低さがわかる。
これらの相関分析から、現在のポンド円はユーロ円ほどドル円の下落の影響を受けない状況にあると言える。
ドル円、ポンド円、ポンドドルの相関関係
基準日:10月20日 / データ数:27(対数差分)
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 3% | -7% | -3% |
週次 | 4% | -10% | -5% |
売買のポイント:ポンド円のロング(ポンド買い/円売り)のケース
ドル円の影響度合いが低いということは、余程のポンド売り要因が発生しない限り、目先のポンド円はユーロ円のように下落幅が拡大する可能性が低いということである。
この点は、ゼロラインを挟んで横ばい推移となっているモメンタム(12日間)も示唆している(下チャートの青ボックス)。
よって、ポンド円の買いを仕掛ける場合は、直近で相場が反転したポイントを意識したい。
現在、そのポイントは2つある。
ひとつは、21日線(MA)が推移している水準である。この移動平均線は今日現在、167.36レベルで推移している。
もうひとつは、10日線(MA)が推移している水準である。この移動平均線は今日現在、166.93レベルで推移している。
これら2つの移動平均線での反転を確認してから、成行きでポンド円のロング(ポンド買い/円売り)を狙いたい。
または、これら移動平均線の水準で指値買いを考えたい。
ポンド円のチャート
チャート:Trading View 15分足(11月2日~)
※移動平均線の水準:記事をアップした時点での水準(相場の変動により変化している可能性あり)
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 1% | -3% | -1% |
週次 | 13% | -31% | -17% |
売買のポイント:ポンド円のショート(ポンド売り/円買い)のケース
一方、ポンド円のショート(ポンド売り/円買い)を考える場合は、成行きと指値でエントリーの水準が違ってくる。
成行きでポンド円のショートを狙う場合は、上で述べた2つの移動平均線うち10日線の下方ブレイクおよびこのMAのレジスタンス転換を確認したい。
この2つが確認された時点で、ポンド円のショートを考えたい。
一方、指値でポンド円のショートを狙う場合は、レジスタンスポイントとして意識されている169.00レベルを意識したい。11月の反発局面では、このレベルで相場の戻りが何度か止められている。
ポンド円のチャート
チャート:Trading View 日足(今年9月以降)
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ポンド円が169.00手前で反落する可能性も考えておく必要がある。
そのレジスタンスポイントとして注目したいのが、直近高安の61.8%戻し168.31レベルである(168.30台)。今週の23日以降、この水準で相場の戻りが止められる局面が見られる。よって、168.30台の突破に失敗し続ける局面が確認される場合は、成行きまたは指値売りを仕掛けることを考えたい。
一方、ポンド円がこの水準の突破に成功する場合は、変則的ながらも逆ヘッド・アンド・ショルダーの完成、つまり169.00をトライするシグナルと想定しておきたい。
ポンド円のチャート
チャート:Trading View 15分足(23日~)