豪ドル円の展望と取引戦略
【サマリー】
豪ドル円の展望:今後は株式市場の動きが重要に
株式市場と高い相関関係にある豪ドル/米ドル
最近のIG為替レポートでは、外為市場と株式市場の関係について分析する内容が増えてきた。
今日も米ドル相場と株式市場の関係についてのレポートを配信した(詳細はこちらから)。
主要通貨ペアの中でも今年の豪ドル/米ドル(AUDUSD)は、株式市場と高い相関関係(順相関の関係)にある。
この点について、世界株式(MSCI World Index)と豪ドル/米ドルのトレンドを比較すると、一目瞭然である。
よって、豪ドル/米ドルをトレードする際は、常に株式市場の動きをチェックし(NYタイムなら米株の動きをチェックし)、臨機応変に成行きで売買するスタンスで臨みたい。
世界株式と豪ドル/米ドルのチャート
チャート:Bloomberg / 日足(年初来)
トレードの基礎知識
株取引の基本
FXで勝つには株式市場の理解が不可欠!
今後は豪ドル円も株式動向の影響を受ける展開が予想される
一方、今年の豪ドル円(AUDJPY)は、必ずしも株式市場と同じトレンドを形成してきたわけでない。その要因は、ドル円の上昇にある。
だが、インフレの鈍化と景気不安で米ドル高トレンドの土台となってきた米金利は現在、トレンドの転換点にある(上昇→低下のトレンドへ転換しつつある)。
この動きに連動し、ドル円は151.95レベルから130円台まで急落している。今後も米金利は低下基調を辿る可能性が高い。ゆえにドル円も今年のような急激な上昇トレンドへ回帰する可能性は低いだろう。
よって豪ドル円は今後、ドル円の軟調地合いの影響を受け上値の重い展開が予想される。そして「株安→対米ドルでの豪ドル安」が同時に発生する局面では、豪ドル円の下落幅が拡大しよう。
一方、「株高→対米ドルでの豪ドル高」の局面では、豪ドル円の上昇(反発)が予想される。
つまり、ドル円の上昇トレンドが終わりを迎えていることで、豪ドル円は今後、株式動向の影響を強く受ける局面が多く見られることが予想される。その兆しは、今夏以降の株安局面で豪ドル円の上値が切り下がっていることからもうかがえる(下チャートの赤ボックスを参照)。
世界株式と豪ドル円のチャート
チャート:Bloomberg / 日足(年初来)
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -12% | 23% | -5% |
週次 | -7% | 16% | -2% |
豪ドル円の取引戦略
ロング戦略:豪ドル買い/円売り
株高の局面もしくは株価の下落幅が縮小する局面では、豪ドル円の短期的なロング(豪ドル買い/円売り)を考えたい。
成行きのトレードを基本としながらも、短期サポートライン付近で指値を待つ手もある。
短期サポートラインを下方ブレイクする場合は、相場をサポートした経緯のある87.75レベルで指値買いを狙うことも考えておきたい。
だが、米国を含めて世界の株式市場は再び不安定な状況にある。ゆえに、株安へ転じるリスクを常に意識し、豪ドル円のロングポジションは利益が発生した時点で素早く清算することを心掛けたい。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -8% | -4% | -6% |
週次 | 19% | -2% | 5% |
ショート戦略:豪ドル売り/円買い
株価の下落幅が拡大する局面では、豪ドル円の短期的なショート(豪ドル売り/円買い)を考えたい。ロングと同じくショートも成行きのトレードを軸にしたいが、指値を狙う場合は、昨日欧州タイムの戻り高値89.30レベルを意識したい。この水準は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあたる。
一方、成行きのトレードでは、上で述べたサポートラインと87.75のブレイクを確認することが重要となろう。特に後者の87.75レベルの下方ブレイクは、今週20日の日銀ショック時に付けた安値87.02レベルを目指すシグナルとなり得る。
豪ドル円が89.30レベルの突破に成功した後、反落の局面でこの水準がサポートへ転換する場合は、ショート戦略から成行きのロング戦略に転換することも意識しておきたい。
株高の勢いによるが、89.30レベルの “サポート転換” が確認される場合は、半値戻し90.00レベルまで上昇する可能性がある。株価の動向次第では、この水準で指値売りを狙う手も考えておきたい。
現在の株式市場は上下に振れる不安定な展開が続いている。よって、豪ドル円のロング戦略と同じくショート戦略でもリスク許容度の範囲内で素早い利益確定や損切りを心掛けたい。
豪ドル円のチャート
チャート:TradingView / 4時間足(12日以降)