ブレント原油、90ドル突破:新たなギア入る、WTI原油価格見通し
2024 04 05, 午後 12:05 +00:00※2024年4月8日11時24分更新
ブレント原油価格は5日、90ドルを突破した。米雇用統計の発表を控え、伸び悩んだものの、イスラエルによるイラン大使館空爆で中東での緊迫度が増しているのに加え、石油需要は堅調で、原油相場には新たなギアが入った。
原油(ブレント、WTI)のニュースと分析
- 米国の貯蔵量は減少し、OPECは第2四半期の協調減産方針を維持
- ブレントとWTIは目先、レジスタンスに阻まれる可能性があるが、強気姿勢は変わらず
OPECは第2四半期の供給政策を維持、米国の貯蔵量は減少
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国で構成されるOPECプラスは先週3日、合同閣僚監視委員会を開催し、第2四半期の原油供給について、現行の協調減産を維持する見通しとなった。ロイター通信は、3日のオンライン会合に先立ち、多くの関係者(名前は伏せたまま)の発言を引用していた。
さらに3月29日に終わる週には米国最大の貯蔵拠点であるオクラホマ州クッシングでの石油在庫が減少し、原油価格の上昇に拍車をかけた。
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しかし、先週のニュース見出しの多くは、援助活動家数人を殺害し、世界の指導者たちの怒りを再び買った、イスラエルによる攻撃に関するものだった。アラブ首長国連邦(UAE)は、このままでは「冷たい平和」になると警告した。
バイデン米大統領は、ガザの市民に直ちに援助が届くようにすることを要求し、イスラエルのネタニヤフ大統領に民間人を守るよう強く求めた。アントニー・ブリンケン米国務長官は、人道的改善に対する具体的な措置がなされなければ、支援の見直しも辞さないと警告した。イスラエルを強力に支援する米国だが、最近の事態の推移と市民救済への対応の悪さを受け、イスラエルへの支援はどんどん難しくなっているようだ。
イスラエルがダマスカス(シリアの首都)のイラン大使館を標的としたことで、中東での緊張は一気に高まった。イランの報復が懸念されることから、石油相場は上昇している。また、OPECが協調減産を維持したことや、主要国の購買担当者景気指数(PMI)が良好な数字であったことから、石油需要の見通しは堅調であるとみられる。
ブレント原油は90ドルに到達
ブレント原油価格は約1週間前、85ドルでサポートが維持された後、長期的な強気局面の新たなギアが入った。4日には90ドルを大きく上回り、2020年から2022年にかけての長期上昇のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあと一歩のところに迫った。
とはいえ、RSI(相対力指数)では買われ過ぎの領域に入っている。急伸の後なだけに、ブレント原油価格は短期的に下落しても不思議ではない。当面のサポートは、トレンドラインであるサポート(かつてのレジスタンス)で、その下には89ドルが控えている。89ドルを上回る水準を維持できれば、強気見通しが続くだろう。
ブレント原油 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
WTI価格は86ドルを突破
WTI原油価格は4日に86ドルを上回り、米非農業部門雇用者数(NFP)の発表を控える中、高値圏を維持している。ただ、この買われすぎの水準では、上昇トレンドライン(かつてのチャネルサポート)に向かって反落する見通しが現実味を帯びており、85.90ドル/86ドルが当面の注目水準だろう。
WTI原油(CL1!当限つなぎ足) 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
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--- DailyFX.com リチャード・スノー著
スノー氏に連絡するには、X(旧Twitter)で @RichardSnowFX までお願いいたします。
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