※2023年4月21日13時34分更新
ユーロ/ドル見通し
- 米経済指標の下振れで、米国債利回りに低下圧力がかかり、ユーロが対ドルで強含んでいる
- 欧州中銀当局者のタカ派発言もユーロを支えている
- テクニカルな観点からは、ユーロ/ドルは重要なトレンドラインのサポートに直面し、価格反発の可能性が開かれている



20日のニューヨーク外国為替市場でユーロは対ドルで上昇。前日の弱含みな展開から反発したが、慎重な市場心理が広がる中、上値は限定的だった。ニューヨークの午後の取引では、米経済指標の下振れを受けて米国債利回りが低下した中、ユーロは約0.15%高の1.0970となり、ドルを緩やかにアウトパフォームした。
米労働省が20日発表した4月15日までの1週間の新規失業保険申請件数は24万5,000人と、予想(24万人)を上回り、継続受給件数は187万件と、2021年11月以来の高水準となった。雇用の減速により新しい仕事を早く見つけることが難しくなってきていることが示された。
3月の中古住宅販売件数も予想(450万件)を下回り、444万件となった。この2つの経済指標を総合して考えると、経済はFRBの積極的な利上げサイクルの重圧に耐えかねており、景気後退に向かう可能性があることが示唆されている。この状況は、政策立案者が短期的に金融引き締めを一時停止する根拠となり得る。
米経済指標一覧
資料:経済指標カレンダー
また、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が、インフレ率を2.0%の目標に戻すには「まだ少し先がある」と述べたことも、ユーロをさらに後押しした。ここ数日、他のECB当局者からもタカ派発言が相次いでおり、ECBが今後の理事会で政策金利の引き上げを継続することが示唆されている。
ECBは夏までにあと数回利上げを実施すると予想されている一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)は金利を据え置くとの見方があるため、ユーロ/ドルはさらに上昇する余地がある。しかし、ユーロの強気シナリオは、センチメントが安定しているかどうかにかかっており、安定しなければ、その良好な見通しは急速に悪化し、リスクオフ環境で需要が高まりやすいドルの方が有利な立場となる可能性がある。
テクニカル分析入門
市場センチメント
推薦者: Diego Colman
ユーロ/ドルのテクニカル分析
ユーロ/ドルは、1.0935に位置するトレンドラインのサポートから切り返し、今のところ強含みの展開となっているが、過去4週間ほど力強く上昇した後は強気の勢いが弱まっているように見受けられる。このため、一段高となる前に一定期間、もみ合いやレンジ相場となる可能性がある。
注目すべき主要なテクニカル水準としては、1.0935が最初のサポートとなり、その後は1.0875が控えている。その下には、心理的水準である1.0800があり、次の注目すべきエリアとなる。一方、上値では、2023年の高値である1.1075付近が最初のレジスタンスとなり、その後は1.1170が意識されるだろう。
ユーロ/ドル テクニカルチャート
資料:TradingView