金相場の状況
ロシアのウクライナ侵攻を受け、昨年3月に2,070米ドルを超える数カ月ぶりの高値を付けた金は、その地政学的な要因がもたらした上昇を急速に反転させ、2022年後半には一時1,620ドルを割り込んだ。しかし、この劇的な下方修正は短命に終わり、その後まもなく金は再び上昇し、下のチャートが示すように11月の安値から伸びる完璧なトレンドラインによって高値に導かれた。
数カ月にわたり強力なサポートとなってきた上記の上昇トレンドラインは、順調に弱気派を追い払い何度も下落からの反転を引き起こしたが、第2四半期末、ついに突破された。テクニカル分析において暗い影を落とすこの下方ブレイクは、売り圧力を強め、強気派の諦めを引き起こし、本稿執筆時点で2カ月以上ぶりの安値水準に価格を押し下げた。



金先物 日足チャート
出所:TradingView、チャート作成:ディエゴ・コルマン



注目すべき重要なテクニカル水準
見通しは極端に弱気ではないものの、金/米ドルが1,920ドルのサポートラインを下抜ける場合、状況は悪化し得る。このサポートラインはこれまで保たれているが、もし継続的に下回るようであれば、弱気派が勢いづき1,880ドルへの挑戦を始める可能性がある。さらに下落した場合、売り手は200日単純移動平均線と2022年11月から2023年5月の上昇のフィボナッチリトレースメント50%付近にある1,850ドルに焦点を合わせるだろう。これを下回る場合、次の水準は1,800ドルである。
強気に転じた場合、貴金属にとっての最悪期は過ぎ、この先は良い時期だと確信するために乗り越えなければならないハードルがいくつかある。最初のレジスタンスラインは1,975ドルである。この壁を順調に上抜ければ、マーケットに楽観的な見方が広がり、心理的な節目となる2,000ドルの水準を再び試すための下地が作られる可能性がある。この水準より価格を押し上げるには強気派は苦労するだろうが、突破すれば高値更新の夢を持ち続けることができるだろう。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 9% | -6% | 5% |
週次 | 13% | -29% | 0% |
金先物 週足チャート
出所:TradingView、チャート作成:ディエゴ・コルマン
この記事では、金のテクニカル分析見通しのみを取り上げています。中期的に貴金属に影響を与える可能性のあるファンダメンタル要因について知りたい方は、以下のリンクをクリックして、DailyFXの完全な四半期取引ガイドをダウンロードしてください。無料です!


