円相場 -トーキングポイント
米ドル/円は、1998年9月の高値(139.91)には届かず、その後は高値と安値を切り下げる展開となっている。しかし、日銀は依然として緩和サイクルから脱却することに躊躇しているため、日銀による金融政策の決定が米ドルを支える可能性がある。
日銀の金融政策決定会合を控え、米ドル/円は上値が重い
米ドルは円に対し、米ドルの軟調な地合いを背景に年初来高値(139.39)から値を下げる動きが続いており、米連邦準備制度理事会(FRB)の100ベーシスポイント(bps)の利上げへの期待が薄らぐ中、日銀の金融政策決定会合を前に、さらなる下落に直面する可能性がある。
しかし、黒田東彦日銀総裁らが量的・質的金融緩和(QQE)と長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)を徹底していることから、決定会合では同様の金融政策が決定する可能性があり、そうなれば対円で米ドルを下支えし、日米で金融政策の方向性が異なる中、年内も円安ドル高基調は継続しそうである。
米ドル/円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げに対する強い意欲を示している中、数十年来の高値圏での推移が続く可能性がある。2022年の大半の米ドル/円取引において、米ドルの売り持ちが優勢になっており、個人トレーダーのセンチメントに変化はないように思われる。

IGクライアントセンチメントによると、現在28.86%のトレーダーが米ドル/円をネットロング(ドルの買い持ち)しており、ショート(ドルの売り持ち)とロング(ドルの買い持ち)の比率は2.46対1となっている。
ネットロングのトレーダー数は昨日より6.44%増加し、先週より0.90%減少している。一方で、ネットショート(ドルの売り持ち)のトレーダー数は昨日より3.95%減少、先週より4.63%の減少となっている。ネットショート・ポジションは米ドル/円が高値と安値を切り下げる局面で、減少した。先週は25.13%のトレーダーが同通貨ペアをネットロングしており、ネットショートの減少により、売り持ちの状態が緩和された。
とはいえ、米ドルは円に対し、1998年9月の高値(139.91)を試すも突破とはならなかったため、日銀による金融政策の決定を前に、さらに下げ幅を拡大するかもしれない。年初来高値(139.39)からの下落は、日米の金融政策の方向性が異なる中、より幅広い意味でのトレンドにおける調整だと判明する可能性がある。



米ドル/円 日足チャート

資料:Trading View
- 米ドル/円は、RSI(相対力指数)が今年6回目の70超えとなった後は買われすぎの領域からすぐ下落に転じ、高値と安値を切り下げる展開となっている。1998年9月の高値(139.91)を前にトレンドが反転したように見える
- 137.40(61.8%エクスパンション)から137.80(316.8%エクスパンション)にかけてのエリアを下回る水準で取引を終了した場合、米ドル/円は135.30(50%エクスパンション)へ向かって押し下げられる可能性がある。月間安値(134.74)を割り込むと、132.20 (78.6% リトレースメント)から133.20 (38.2% エクスパンション)付近のフィボナッチが重なった水準を意識した展開となろう
- しかし、137.40(61.8%エクスパンション)から137.80(316.8%エクスパンション)のエリアを下回る水準で終値が付かなければ、再び1998年9月高値(139.91)を試す動きが強まり、次は140.30(78.6%エクスパンション)が注目される水準となりそうである



--- DailyFX.com 為替ストラテジスト デイビッド・ソン著
ソン氏に連絡するには、Twitter で@DavidJSongまでお願いいたします。