円相場 - トーキングポイント
11日のニューヨーク外国為替市場で米ドル/円相場は、米消費者物価指数(CPI)の伸び鈍化を受けて、週間安値(131.73)を更新した。50日SMA(135.24)の水準を上抜けられず、月間安値(130.39)を試す展開となりそうである。



米ドル/円、50日SMA突破ならず、月間安値が視野に
11日のニューヨーク外国為替市場で米ドルは円に対し、米国債利回りの再上昇にもかかわらず、高値と安値を切り下げる展開となっている。8月のオープニングレンジを維持できなければ、今後数日間、円高ドル安が進行する可能性がある。
ジェローム・パウエル議長が 「累積的な(金融引き締めの)効果が経済とインフレにどう影響しているかを評価しつつ、利上げペースを緩めることが適切となりそうだ」と認めたように、米消費者物価指数(CPI)の伸び鈍化は、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利のフォワードガイダンスを調整するとの観測を高めているように見える。

資料:CME
CME グループのフェドウォッチ・ツールによると、来月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での50ベーシスポイント(bp)の利上げ予想は60%以上となっており、FRBの政策転換への思惑は、引き続き対円での米ドルの下落圧力になる可能性がある。ミシェル・ボウマンFRB総裁は「継続的、持続的に意味のある形でインフレが低下していると確認できるまで、これまでと同規模の利上げが検討されるべきだ」と主張していることもあり、9月21日の次回会合でFOMCが金融引き締めの姿勢を調整してくるかどうかはまだ分からない。
それまでは、米ドルは円に対し、75bp利上げ観測が後退する中、6月の安値(128.60)から上昇した分を消失する動きが続くかもしれないが、米ドル/円の個人トレーダーが今年の大半をネットショート(米ドルの売り持ち)していることから、センチメントは持続しそうである。

IGクライアントセンチメントによると、現在、米ドル/円トレーダーのうち、37.61%がネットロング(米ドルの買い持ち)しており、ショートとロングの比率は1.66対1となっている。
ネットロングのトレーダー数は昨日より4.54%増、先週より13.15%増加している。ネットショートのトレーダー数は昨日より9.53%増、先週より1.72%増加している。今週初めには32.87%のトレーダーが米ドル/円をネットロングしており、ネットロング持ち高の増加は個人トレーダーの心理の変化を和らげるのに役立っている。一方、ネットショート持ち高は、米ドル/円が高値と安値を切り下げ始めた際に、増加し始めた。
とはいえ、米ドルは円に対し、50日単純移動平均線(SMA 、135.24)の水準を回復できず、月間安値(130.39)を試す展開となりつつある。6月安値 (128.60)からの米ドルの上昇分が帳消しとなる中、FRBの積極的な利上げ観測の後退は当面、ドルの下落圧力になる可能性がある。



米ドル/円 日足チャート

資料:Trading View
- 米ドル/円は、50日SMA(135.24)を上抜けできず、8月のオープニングレンジを維持できない可能性がある。135.30(エクスパンション50%)を上回る水準で終値を付けられず、132.20(リトレースメント78.6%)から133.20(エクスパンション38.2%)付近でフィボナッチが重なるエリアに押し戻されている
- このところ高値と安値を切り下げる動きがあったため、130.20(エクスパンション100%)から130.60(エクスパンション23.6%)のエリアを試す展開となる可能性がある。月間安値(130.39)を割り込んだ場合は、129.40(エクスパンション261.8%)付近が下値サポートとして視野に入るだろう
- とはいえ、132.20(リトレースメント78.6%)から133.20(エクスパンション38.2%)付近のフィボナッチが重なるエリアを下回って終値を付けなければ、米ドル/円は月間レンジ内にとどまるだろう。だが、反発して上値圏の水準を再び意識する展開にするためには、135.30(エクスパンション50%)を上回る水準で終値を付ける必要がある。



--- DailyFX.com 為替ストラテジスト デイビッド・ソン著
ソン氏に連絡するには、Twitter で@DavidJSongまでお願いいたします。