USD/JPY、EUR/USD、IGCS、テクニカル分析、債務上限-トーキングポイント



米国債務上限引き上げ交渉が難航しているものの、USドルは円やユーロに対して上昇している。米ドル円を取引する個人トレーダーは、USドル安円高を見込んでいる。また、ユーロドルを取引する個人トレーダーは、ユーロ高米ドル安を見込んでいる。これはIG顧客センチメント(IGCS)を見れば分かる。IGCSは時に逆張り指標として機能することがある。IGCSは米ドル高円安、ユーロ安米ドル高のシグナルを出している。また、テクニカル面の動きも米ドル高円安、ユーロ安米ドル高のシグナルを示している。詳しく見てみたい。
米ドル円のセンチメント分析:米ドル高円安
IGCSによると、米ドル円を取引する個人トレーダーの約31%がネットロング(米ドルロング円ショート)にしている。残りの約69%の持ち高はまだネットショートに傾いているため、米ドル円は上昇(米ドル高円安)する可能性を示唆している。また、昨日、先週からのネットロングのトレーダー数はそれぞれ4.52%、7.59%低下している。このことを考えると、米ドル円は一段と上昇(米ドル高円安)する可能性がある。
IG顧客センチメント:米ドル円




資料:IG顧客センチメント
米ドル円のテクニカル分析:米ドル高円安
ドル円は年初来高値:137.911円を更新した。5月初めにブレイクを試みたものの一度跳ね返されていた。強固なレジスタンスであった137.911円の水準は今後サポートラインとして機能する可能性がある。また、9,20,50,200日指数移動平均線が上向きかつ、上から順に並び、一段の米ドル高円安を示唆する「パーフェクトオーダー」が依然として成立している。RSIも買われ過ぎの70には到達しておらず、一段の上昇余地がある。21日移動平均線からの乖離率は1.7%に留まっており、米ドル円の上昇に過熱感はなく、一段の上昇を見込む。心理的節目であり水平レジスタンスである140円ちょうどへの上昇が視野に入る。リスクとして米国債務上限問題や金融不安がある。これらに対する懸念が高まった際にはリスク回避の動きが強まり、安全資産である円が買われる(米ドル安円高)可能性がある。円高が進展した際は、水平サポートライン:137.911円、更に下抜けた場合は133.718円まで円高が進行する可能性がある。
米ドル円日足チャート

資料:Trading View
ユーロドルのセンチメント分析:ユーロ安米ドル高
IGCSによると、ユーロドルを取引する個人トレーダーの約60%がネットロング(ユーロロング米ドルショート)にしている。半分以上の持ち高はまだネットロングに傾いているため、ユーロドルは下落(ユーロ安米ドル高)する可能性を示唆している。また、昨日、先週からのネットロングのトレーダー数はそれぞれ、10.98%、9.32%上昇している。このことを考えると、ユーロドルは下落(ユーロ安米ドル高)する可能性がある。
IG顧客センチメント:ユーロドル




資料:IG顧客センチメント
ユーロドルのテクニカル分析:ユーロ安米ドル高
9日指数移動平均線が20、50日指数指数移動平均線を下抜ける「デッドクロス」が成立し、ユーロ安米ドル高トレンドが鮮明になっている。加えて、水平サポートラインである1.08366を下抜け、下落トレンドを示唆しており、ユーロ安米ドル高を見込む。サポートとなっている200日指数移動平均線でサポートされるかに注目。下抜けた場合、3月安値:1.05161へ下落する可能性がある。一方、米国債務上限問題に伴い米ドル安が進展した場合、サポートラインからレジスタンスラインに転換したことが期待される1.08366ドルを上抜けられるかに注目。同水準を上抜けた場合、ユーロ安トレンドに歯止めが掛かる可能性がある。
ユーロドル日足チャート

資料:Trading View



-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著