注目のジャクソンホール会議を消化し、今週は重要指標である米国雇用統計を控える中、ドル円の見通しとは。また、8月は多くの日本企業が決算発表を実施したが、日本株の見通しとは



サマリー
- ジャクソンホール会議、今週は雇用統計に注目
- 8月は多くの日本企業が決算を発表
- ドル円&日本株の見通し
ジャクソンホール会議、次は雇用統計
日米欧の中央銀行トップが集まったジャクソンホール会議にて、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、今後の利上げはデータ次第とし、金融政策の方向性について明確なヒントを与えなかった。
また、植田日銀総裁は、9月22日の日銀金融政策決定会合に向けて、金融緩和の維持を示唆した。
9月20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)は政策金利の据え置きが予想されている。一方、11月もしくは12月のFOMCにて年内あと1回の利上げがやや優勢になっている。今週は米国PCE物価指数、そして最重要経済指標の一つである雇用統計が発表されるが、今後は米国経済指標の動向によって米国政策金利見通し、そして米国金利が変化し、ドル円が変動、ドル円と関係の深い日本株も変動することを見込む。
米ドル円の見通し
ドル高円安基調が継続、昨年10月から今年1月にかけてのドル円の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント78.6%水準146.652レベルを巡る攻防が続いている。
一方、テクニカル面ではドル円の上昇トレンドが衰えてきていることを示すシグナルが出始めている。RSIやMACDで「弱気の乖離(ダイバージェンス)」が示現しており、終値ベースで146.652レベルを上抜けるかがドル円のトレンドを左右する可能性がある。



ドル円の強固なレジスタンスである146.652レベルを終値ベースで上方ブレイクした場合、ドル高円安圧力が一段と強まり、147円台にドル円のレンジが切り上がることを見込む。
しかしながら、上方ブレイクに失敗した場合、ドル高円安トレンドの反転を示唆する小型の「三尊天井(ヘッドアンドショルダーパターン)」パターンが成立、7月中旬以降のドル高円安トレンドが終了した可能性が高まる。その場合、水平サポートラインである145.07レベルでサポートされるかに注目。
USDJPY日足チャート

資料:Trading View



日本企業第2四半期決算
8月は多くの日本企業が第2四半期決算発表を行った。日経平均採用企業で決算を発表した企業の内、約54%は売上高が、約60%が一株当たり利益の事前予想を上回った。第1四半期と比べ、売上高・一株当たり利益ともに事前予想を上回っている企業の割合が増加し、好決算が相次いだ。

資料:BloombergよりDailyFXが作成。事前予想はBloombergの集計値
決算を発表した日経平均株価構成企業全体で、売上高の金額は「3.3%」、利益の金額は「20.9%」、事前予想を上振れ、大幅なポジティブサプライズとなった。日本企業の業績が堅調に推移していることは、今後も日本株のサポート材料になろう。

資料:BloombergよりDailyFXが作成。事前予想はBloombergの集計値
日本株見通し
日経平均株価(先物)は、32,000円前後での推移が続いているものの、右肩下がりの平行トレンドチャネル内で推移している。一方、RSIは50超えに転換し、日経平均株価のモメンタムが強気転換した可能性を示唆している。また、MACDラインがシグナルラインを上抜ける「ゴールデンクロス」が示現している。
テクニカル面では強気転換へのシグナルが出始めており、日本企業の業績は堅調にしている。このような中、米国雇用統計が労働市場の軟化を示し、日本株の重荷であったFRBの利上げ終了との思惑が強まった場合や、ドル円が146.652レベルを突破し、ドル高円安進展に伴い輸出企業の収益改善期待が高まった場合、日本株の上昇を見込む。その場合、日経平均株価が現在32,460円近辺にある右肩下がりの平行トレンドチャネルの上限を上抜け、日経平均株の下落トレンドが終了した可能性が高まる。
一方、米国雇用統計で労働市場の力強さが示された場合やドル円の為替介入に対する警戒感等から急速な円高が進行した場合、日経平均株価は3月から6月までの値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント38.2%水準30,986円へ向かって下落する可能性がある。
日経平均株価先物日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著