日本の4-6月GDP成長率が公表され、3四半期連続の大幅プラス成長となった。日本経済の力強さが際立つ中、ドル円、そして日本株の今後の見通しとは



サマリー
- 日本GDP統計が公表、力強い結果
- インバウンド消費の回復余地は依然として大きい
- ドル円、日経平均株価の見通し
力強い日本経済
日本の第2四半期GDP成長率が公表(速報値)され、事前予想を上回る結果となった。前期比年率換算でプラス6%と、前期の3.7%より成長が急加速した。外需がプラス成長に寄与し、3四半期連続のプラス成長である。中国は日本向けの団体旅行を解禁を先日発表しており、中国人訪日客を中心にインバウンド消費の回復余地は依然として大きく、今後も日本経済は底堅く推移することを見込む。中国人訪日客はコロナ前は全訪日客の約3割を占めていた。

日本株とドル円は相互に影響しており、日本株が上昇する際はドル円も上昇(ドル高円安)が進行する傾向がある。本日のGDP統計は、日本景気の力強さを示す結果となり、日本株のみならず、ドル円のサポート材料となろう。足元、ドル高円安が進行する一方、日経平均株価は軟調に推移しており、今後日経平均株価がドル円との乖離を縮めるべく、下げ幅を縮小する可能性がある。
日経平均株価とドル円日足チャート

資料:Trading Economics
米ドル円の見通し
米国債利回りの上昇、日本銀行の金融緩和姿勢を受けドル高円安が進行している。強固なレジスタンスであった6月30日高値145.07円を上抜け、ドル高円安圧力が一段と強まっている。テクニカル面の強気シグナルに加え、日本経済の底堅さ、米国金利の上昇トレンドを踏まえると、更なるドル高円安の可能性がある一方、最近の急速な円安進行を踏まえ、日本の通貨当局から口先介入の可能性も高まることから、ドル安円高のシナリオにも備えたい。
ドル高円安が進行する場合、心理的節目である146.00円、更に上昇の勢いが衰えなかった場合、昨年10月から今年1月にかけてのドル円の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント78.6%水準146.65円が視野に入る。
一方、ドル安円高が進行した場合、145.07円がサポート転換したかに注目。下抜けると、8月3日高値143.89円へ下落する可能性が高まる。
USDJPY日足チャート
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -6% | 8% | 5% |
週次 | -8% | 0% | -2% |

資料:Trading View
日本株見通し
日経平均株価(先物)は、9日指数移動平均線が20日指数移動平均線を下抜ける弱気の「デッドクロス」が示現後、下落基調である。テクニカル面では、弱気シグナルが点灯しているものの、ドル円対比、日経平均株価が下落していること、32,000円のサポートラインが強固に機能していることから、下値余地は限定的と見込む。日経平均株価が6月19日を起点としたレジスタンスラインを上抜けることに成功した場合、下落トレンドが終了、上昇トレンドへの転換が視野に入る。
日経平均株価のリスクシナリオとして、ドル円の口先介入が実施され、円高が進行したケースがあげられる。この場合、引き続き32,000円で日経平均株価がサポートされるかに注目。下方ブレイクすると、下落圧力が一段と強まり、心理的節目である31,000円が次の下値の目途となろう。
日経平均株価先物日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著