円相場 - トーキングポイント
ドル/円は、米国消費者物価指数(CPI)が予想より強い内容となったことを受け、上昇基調を維持するのに苦労しており、相対力指数(RSI)は買われ過ぎの領域を脱した。月間高値(144.99)を試したものの突破できず、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を前に値固めの展開となる可能性がある。
ドル/円見通し:月間高値更新ならず、レンジ内で小動き
ドル/円は、週間高値(144.96)から値を下げ、限られたレンジ内にとどまっているように見えるが、米連邦準備制度理事会(FRB)が75ベーシスポイント(bp)の追加利上げを実施するというのが大方の予想なため、9月21日に開催されるFOMC会合における政策金利の決定は、ドル/円相場の短期的な見通しに影響を与える可能性がある。

資料:CME
実際、CME のフェドウォッチツールによると、FRBは金融引き締め政策を実行する計画であることから、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準が3.00-3.25%となる確率は100%、利上げ幅が100bpとなる可能性も20%を示している。
来週公表されるFOMC参加者の経済・金利見通し(SEP)でFRBが示す姿勢や今後の金融政策の方向性によっては、ドル/円相場に大きな影響を与える可能性がある。ただ、ジェローム・パウエル議長らがインフレの抑制に苦慮する中、より積極的な利上げに踏み切るかどうかはまだ不透明である。
それまでは、FOMCと日銀間の金融政策の方向性の違いが、ドル/円を押し上げるかもしれない。黒田東彦総裁は9月22日の次回会合で金融緩和を維持すると見られている。ドル/円トレーダーは今年の大半、ネットショート(ドルを売り持ち)していることから、センチメントはこれまでと変わらないと思われる。

IGクライアントセンチメントによると、ドル/円トレーダーの26.55%が現在、ネットロング(ドルを買い持ち)しており、ショートとロングの比率は2.77対1となっている。
ネットロングのトレーダー数は昨日より8.79%多く、先週より19.69%多い。一方、ネットショートのトレーダー数は昨日より1.48%多く、先週より7.70%少なくなっている。今週初めには24.94%にすぎなかったネットロングのトレーダー数が増加したため、群集行動を緩和するのに役立っている。一方、ドル/円が限られたレンジ内にとどまっているように見えることから、ネットショートのポジションは減少した。
ドル/円は、月間高値(144.99)を試したが突破できなかったため、値固めの展開となるかもしれないが、9月のオープニングレンジを上抜ければ、右肩上がりの50日単純移動平均線(SMA、137.43)に沿って上昇し続ける可能性がある。
テクニカル分析入門
市場センチメント
推薦者: David Song
ドル/円 日足チャート

資料:Trading View
- ドル/円は、月間高値(144.99)を突破するのに苦戦し、今週初めからの上昇分を帳消しにした。RSI(相対力指数)が買われ過ぎの領域から抜けて下降しており、143.00(エクスパンション4.236%)を下回った水準で終値を付けると、141.70(同161.8%)のエリアに向かって下落する可能性が高まる
- 週間安値(141.60)を上回る水準を維持できない場合は、140.30(エクスパンション78.6%)のエリアが視野に入り、次の注目ゾーンは、50日SMA(137.43)とも重なる137.40(同61.8%)-137.80(同316.8%)の付近となるだろう
- しかし、ドル/円が143.00(エクスパンション4.236%)を上回る水準を維持しつつ、144.10(同100%)のエリアを上回る水準で終値を付けると、年初来高値(144.99)が再び視野に入り、右肩上がりの移動平均に沿って上昇し続ける可能性がある
トレード戦略とリスク管理
より良いトレーダーになる
推薦者: David Song
--- DailyFX.com 為替ストラテジスト デイビッド・ソン著
ソン氏に連絡するには、Twitter で@DavidJSongまでお願いいたします。