※2023年4月24日17時58分更新
ドル相場の週間見通し: 弱気



ファンダメンタル分析 - 米経済は緩やかな成長に向かう?
ドルは先週、ようやく下げ止まり一服したが、下落局面との差はそれほど大きくない。20日の取引終了後までにドル指数は約0.25%上昇した。この上昇は、2つの理由から重要である。1つは、最後にドル指数が週ベースでプラスになったのは3月上旬だったという点。2つ目は、上昇率は2月末以来最大となった点である。
大まかに言えば、先週は特に重要視されている米経済指標の発表はなかった。そのためトレーダーは、米連邦準備制度理事会(FRB)の金利動向に関心が向いたようだ。大きなイベントリスクがなかったため、トレーダーは今年後半の利下げはないというFRBの基本的な姿勢に注目したのかもしれない。
それでも、次第に明らかになってきたのは、これまでのFRBからのメッセージを鑑みると、引き締めサイクルはピークに非常に近づいているということである。もちろん、経済動向の変化に応じて、この状況は変わってはくる。
今週は、2023年1-3月期の米国内総生産(GDP)速報値に注目が集まっている。エコノミストらによる予想中央値は、2022年10-12月期の2.6%から減少し、前期比2%程度である。下図を見ると、アトランタ地区連銀によるGDP予測であるGDPナウが示す1-3月期の実質GDP(インフレ調整後)予想値がどのように推移してきたかが分かる。米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻とほぼ同時期に、FRBはGDP見通しをやや引き下げている。
今月に入ってからは、GDP予想は徐々に上方修正されている。予想を下回る結果となった場合、米景気は緩やかな成長に向かっていることを示唆する可能性が高い。筆者のドル・スマイル理論の分析によれば、(深刻な景気後退を除いて)そのような方向に向かうのであれば、ドルにはやや下押し圧力がかかる状況が続くかもしれない。
アトランタ連銀のGDPナウによる2023年1-3月期の実質GDP予想 - 2023年4月20日現在
テクニカル分析
テクニカル面では、日足チャートで陽の包み足(抱き線)のローソク足パターンが示現した後、ドル指数は反転のきっかけを掴めずにいる。3月からの短期的な下降トレンドラインは引き続き維持されている。さらに、100日単純移動平均線は、今後さらに上昇する場合、より広範な上値抵抗線として機能する可能性がある。
トレードに役立つメール配信サービス
DailyFXからタイムリーで国内外のマーケット情報を受け取ることができます。
ドル指数 日足チャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。