※2023年9月6日13時53分更新
ドル、ドル/円、円、米国債利回り、日本国債、日銀、YCC、神田財務官 - トーキングポイント
- 米国債利回りが大きく上昇し、5日のドルは10カ月ぶりの高値を付けた
- 円は失速したが、円安けん制発言が円の下落を阻止し始めるかもしれない
- ドル/円が上昇し続ければ、政府・日銀は行動を起こすか?



5日のニューヨーク外国為替市場でドル相場は、米国債利回りが上昇する中、全面高となった。
ドル/円は一時、148.80円まで上昇し、昨年11月以来、およそ10カ月ぶりとなる高値を付けた。
6日のアジア市場では取引開始早々、財務省の神田真人財務官の発言を受けて、ドル/円は反落した。神田財務官は「令和のミスター円」の異名を持つ。
為替市場における投機的な動きについて、神田財務官は「こうした動きが続くようであれば、政府は適切に対処する」と述べた。
神田財務官の最近の発言は、昨年終盤に日銀が円買い・ドル売り介入を実施した時よりもトーンダウンしていると市場では見られている。
ただ明白なのは、円安けん制発言は始まっており、ドル/円が昨年の高値151.95に近づけば、発言のトーンが強まる可能性は高いということだ。
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一方、米国債と日本国債の利回り格差は拡大しているが、ドル/円が昨年後半に高値を付けたときほどではない。
米10年債利回りは昨年11月の水準に近づいているが、日本の長期国債利回りも上昇している。
長期金利の代表的な指標である新発10年国債利回りは現在、0.65%近辺で、日銀のイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)政策によってこれまで上限とされてきた0.50%を上回って推移している。
YCC政策の修正は、長期金利の上限を0.50%から1.0%へと事実上、引き上げ、YCCの運用を柔軟化した。
きょうの神田財務官の発言は、日本の当局者が、急激で過度な円安の動きを回避しようとしている姿勢を反映しているのかもしれない。
日銀の高田創審議委員も6日、下関市で開かれた山口県金融経済懇談会で講演したが、金融政策に影響を与えるような発言はほとんどなかった。
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昨日、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が政策金利を4.10%に据え置いたことを受けて下落した豪ドルを筆頭に、世界経済成長とリスクセンチメントに左右されやすい通貨は最も下げがきつかった。
リスク通貨の見通しをさらに悪化させているのが、中国経済の先行き不安と中国の不動産セクターの回復に対する不透明感がくすぶり続けていることだ。
財新/S&Pグローバルが5日発表した8月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は51.8と、予想(53.5)、54.1(前月)をともに下回った。PMI総合指数は、前月の51.9に対し51.7だった。
ドル/円、日米10年物国債のイールドスプレッド
資料:TradingView



--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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