※2023年7月12日16時54分更新
米ドル、米ドル/円、円、NZドル/米ドル、NZ中銀、豪ドル/米ドル - トーキングポイント



12日アジア時間の米ドル相場は、前日に低下した米国債利回りが安定したにもかかわらず、上値の重い展開となっている。最も下落率が大きかったのは対円およびオーストラリアドルだった。
先週145を突破した米ドル/円はきょう、140を割り込んだ。日銀が金融政策の見直しを検討するのではとの憶測を背景に円を買う動きが見られた。日銀は7月28日に金融政策決定会合を開く。
同時に、重要な米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、市場はやや神経質になっており、これが米ドルの足かせになっているのかもしれない。
ブルームバーグのエコノミスト調査によると、6月の米CPI総合指数は前年同月比3.1%上昇と、5月(同4%上昇)を大幅に下回り、伸び鈍化が続くと予想されている。
長期金利の指標となる10年物国債利回りは、週初に4.10%に肉薄したが、現在は3.95%近くで推移している。
米CPIの数値は、7月26日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で米連邦準備制度理事会(FRB)が決定する金融政策の判断材料として重要なピースとなる。
アジア市場では、ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)がきょう、金融政策決定会合で、政策金利であるオーバーナイトキャッシュレート(OCR)を5.50%に据え置くことを決定した。
これを受け、ニュージーランドドル/米ドルは当初、下落したものの、その後まもなく回復した。金利市場で、ニュージーランド経済見通しが改善されるとの期待を背景に、金融政策はより緩和方向に向かうと予想する見方が強まったことが買い戻しのきっかけとなったようだ。
オーストラリアドル/米ドルについては、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行) のフィリップ・ロウ総裁の発言が、先週発表された金融政策に関する声明文の文言よりもタカ派的ではないと見なされたことが豪ドルの支援材料となった。
原油先物相場は2カ月ぶりの高値となり、米原油先物指標のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)は75.14ドル、ブレントは79.75ドルで取引されている。金先物相場もドル安を受けて上昇し、きょう1,940ドルを突破した。
APAC(アジア太平洋地域)の株式は12日、まちまちの動きとなった。円高を受け、日本の主要株価指数はすべて下落した一方で、香港ハンセン指数(HSI)はある程度、上昇した。
習近平国家主席が11日の会合で、「投資や貿易、金融革新といった主要な分野での外国との協力に力を入れる必要がある」と述べたと伝わったことが、世界第2位の経済大国である中国の経済見通し改善を後押ししたかもしれない。
今夜(日本時間午後9時半)発表される米CPIが市場の主な焦点となりそうだが、アンドリュー・ベイリーイングランド銀行(BOE、中央銀行)総裁の講演も予定されており、相場のボラティリティが高まる可能性もあるため、留意されたい。
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米ドル指数のテクニカル分析
米ドル指数はきょう12日、2カ月ぶりの低水準を付け、過去の安値が連なる100.80-101.00エリアの潜在的なサポートを試す可能性が出てきた。
直近の低下により、指数は21日単純移動平均線(SMA)をベースとしたボリンジャーバンドの下限バンドを下方ブレイクした。バンド内に戻って引ければ、弱気相場の一服、あるいは反転する可能性もある。
上値では、101.92のブレイクポイント、その上には直近の高値103.57がレジスタンスとして控えている。
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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