※2023年3月13日14時54分更新
ドル、ドル指数、FRB - トーキングポイント
- 週明け13日のドル相場は、不安感から下落して取引を開始
- 米国債の魅力が増し、米国債利回りは低下
- FRBと米財務省による市場の安定化措置が功を奏せば、ドルは回復するのか?
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SVBフィナンシャル・グループ傘下の米銀シリコンバレー銀行の経営破綻を受け、米金融システム全体への影響に対する不透明感から、週明けのドル相場は下げている。
米地銀シグネチャー・バンクも先週末に経営破綻し、米連邦準備制度理事会(FRB)と米財務省は影響を最小限に抑えるため、迅速に対策を講じた。
それでも、市場関係者はきょう、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)からアジアのハイテク企業、アルゼンチンの債券まで、あらゆる金融資産の動きを注視している。
ドルには下落圧力がかかっているが、市場は、米銀2行の破綻に対し米当局がこれまでに講じた措置に納得しているようで、米国株の先物は上昇している。
最も注目すべきは、米当局がこれらの銀行の預金者に対し、預金保険の対象外も含めて預金を全額引き出すことができるようにし、預金の引き出し需要に応えるため、FRBが通常より貸し付け条件が緩やかな貸付プログラムを対象金融機関に適用したことである。
FRBは「対象となるすべての預金者のニーズに応えられるよう、相応な預金取扱機関に対し、緊急貸付を含めた融資プログラムを準備する」と発表した。
FRBは、新たに銀行タームファンディングプログラム(BTFP)を導入し、金融機関を対象に米国債や住宅ローン担保証券を担保として、最長1年の融資をする。
米当局は、政府による支援は預金者に対して実施されるもので、債券や株式の投資家を救済するものではないと明言している。
米財務省は、他の銀行も米シリコンバレー銀行やシグネチャー・バンクと同様の立場にあることを認識しているが、2008年の状況とは全く異なるとの見解を示している。
ジョー・バイデン米大統領は13日朝(米国時間)、米シリコンバレー銀行問題についてスピーチをする予定だ。



この米銀の経営破綻は、来週22日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、今後のFRBの金利見通しにも影響を与えている。市場はこれまで50ベーシスポイント(bp)の利上げに傾いていたが、現在は25bpの利上げが有力となっている。
問題を複雑にしているのは、FOMCメンバーによる金融政策に関する発言を禁ずるブラックアウト期間に入っているからだろう。
フェデラルファンド(FF)金利のピーク(利上げの最終到達点)予想は、先週の5.70%近くから、きょうは5.13%付近まで下がっている。米2年債と10年債の利回りのイールドカーブを見ると、利回り格差はわずかマイナス75bpで、先週水曜より30bp超縮小している。
先週金曜に発表された2月の米雇用統計は引き続き、堅調な米労働市場を示したが、中小の銀行危機の影響を受け、色あせている。14日発表の2月の米消費者物価指数(CPI)も、以前考えられていたほどFOMC会合の金融政策に影響を与えないかもしれない。
米国債利回りは低下しており、このまま下降が続けば、ドルはさらに脆弱化する可能性がある。米2年債利回りは、2007年7月以来の高水準だった先週のピーク5.08%から60bp程度低下している。
逆に、米当局が、今回の米銀問題が米金融システム全体へ影響するのを事前に防ぐことができれば、米国債利回りは下げ止まる可能性がある。
ドル指数、米2年債および10年債の利回り
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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