米ドル相場の見通し
- 米ドルは29日(水)に上昇、ECBフォーラムでのFRB議長によるタカ派的な発言を材料視した
- パウエル議長は、FOMCはインフレ率を2%まで低下させると明言しており、その過程で多少の痛みを伴う可能性があると述べた
- この記事では、今後数日間に注目すべき米ドル指数の重要なテクニカルレベルを提示する
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米ドル指数(DXY)でみた米ドルは29日(水)、104.95と、0.45%も上昇した。ポルトガルのシントラで開催された欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムで、ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がタカ派的な発言をしたことがドル買いを促した。FRB議長は、クリスティーヌ・ラガルドECB総裁やアンドリュー・ベイリーBOE(イングランド銀行)総裁も参加したパネルフォーラムで、FRBはインフレ率を2%に引き下げるために政策手段を取ると明言し、経済が高インフレ環境に移行することを認めないと明確なトーンで繰り返した。
パウエル議長はまた、経済は良好な状態にあり、借入コストの上昇にも耐え得ると指摘し、イールドカーブが示すような市場の警戒感に対する懸念を一蹴した。金融引き締めの脅威について問われると、「(引き締め政策が)行き過ぎる可能性はある」と認めつつも、それが主要なリスクにはならないとし、最大の過ちは物価安定の回復をせず、期待感が定着しなくなることだとの認識を示した。
パウエル議長の発言は、FRBが高騰するインフレの抑制に焦点を当て、インフレの舵取りを優先することを示しており、強引な措置が経済にとって多少の痛みとハードランディングをもたらしたとしても、政策立案者が、今後数カ月間に前倒しで利上げの計画を進める意思があることの証左と言える。
この数週間、米国債利回りは再び低下し始めている。景気後退が深刻化すれば、積極的な利上げサイクルからFRBが手を引き、金融引き締めの手綱を緩めるだろうとの見方がその背景にある。しかしパウエル議長はそうした仮説を検証することも、見て見ぬふりをすると示唆することもなかった。このような背景から、米国債利回りは、特に高インフレを示す経済データが続けば、いつでも上昇に転じる可能性があり、米ドルが為替市場の主要通貨として君臨し続けることを示唆している。



米ドル相場 テクニカル分析
米ドル指数(DXY)は、今週初めに103.80付近のサポートまで下降したが、過去2日間で反発する力を蓄え、2022年の高値105.75近辺の主要なレジスタンスに向かって上昇している。今後、同指数がこのレジスタンスを突破すれば、強気派の勢いは加速し、106.60に向けた上昇が視野に入ってくる。一方、売り手が市場の主導権を取り戻し、相場が反転する場合は、目先のサポートは103.80/103.60となる。このテクニカルサポートを割り込むようであれば、焦点は102.50付近のトレンドラインサポートに移るだろう。
米ドル指数(DXY)テクニカルチャート

資料:TradingView
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--- DailyFX.com マーケット・ストラテジスト ディエゴ・コルマン著