今週の米ドル相場見通し:強気
- 先週5日に発表された米雇用者数が予想を大幅に上回ったことで景気後退懸念が和らぎ、米ドル相場は上昇
- 米国では雇用が堅調に推移し、賃金上昇圧力も高いことから、FRBが積極的な金融引き締め政策を継続するとの見方が強まり、米ドルには好材料となった
- 今週は7月の米インフレ統計が注目される
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7 月末は軟調に推移した米ドルだが、8 月第 1 週に上昇し、その週の米ドル指数(DXY)は約 0.7%高の 106.55 まで上昇した。その上昇分のほとんどは週末を前にした先週5日の取引によるものだ。5日に発表された米国の雇用統計が予想を上回る好調な内容となり、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に政策転換するとの観測が後退したことを受け、投資家の米ドル買い意欲が強まった。
7月の非農業部門雇用者数は前月比52万8000人の増加と、コンセンサス予想(同25万人の増加)の2倍以上となった。2月以降で最も速いペースでの雇用拡大であり、雇用は引き続き好調で、景気後退への警戒感は行き過ぎだったという可能性を示している。
労働市場は全般的に堅調さを維持しており、解雇が広がる兆候もなく、賃金上昇圧力も弱まっていないことから、FRBは、需要を落ち着かせインフレを抑制するために、今後数カ月間に借入コストを大幅に引き上げる方針を維持する可能性が高い。このような状況下では、市場はより積極的な利上げと長期金利の上昇を織り込むため、米国債利回りは上昇する可能性がある。



現在の環境下では、円やユーロなど低金利な通貨に対して、米ドルは当面、底堅さを維持、あるいはさらに上げ幅を拡大する可能性もある。しかし、米ドルを下押ししかねない不確定要素として、消費者物価指数の発表には留意する必要がある。
今週、米労働省労働統計局が発表する最新の消費者物価指数(CPI)の結果を見れば、インフレの状況をより明確に理解できるだろう。ブルームバーグ調査によると、7月のCPIは前月比0.3%上昇し、年率では8.7%上昇と6月(9.1%上昇)からは低下すると見られている。方向性としてこの改善は喜ばしいが、FRBの誘導目標である2%を4倍以上上回っており、非常に高い水準のままであることに変わりはない。
市場が、米連邦公開市場委員会(FOMC)による利上げ姿勢の緩和と名目中立金利の引き下げを織り込み始めるには、インフレ率が大幅に低下する必要がある。6月下旬からエネルギーコストは低下しているが、7月のCPI数値にはまだ反映されないかもしれない。このような背景から、今後1週間の米ドル指数(DXY)のファンダメンタルズ見通しはやや強気としている。



米ドル(DXY) 日足チャート

資料:TradingView
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--- DailyFX.com マーケット・ストラテジスト ディエゴ・コルマン著