米ドル、中国人民元、USD/CNH - 第3四半期のトップトレード機会



第3四半期も米ドル/人民元(USD/CNH)のレートは上昇を続ける見通し
2023年第2四半期末に向けて、米ドルは対人民元で、より高く上昇した。私は前回の「注目のトレード機会」から、重回帰モデルにもとづく米ドル/人民元の見通しを更新し続けてきた。今回の予測は、そのシリーズの再開だ。前年同期比で見ると、第2四半期の6月中旬には、米ドル/人民元は約7%上昇した。
私の第2四半期の予測では、9%上昇の見通しであった。この米ドル/人民元が上昇するとの予測は、中国の輸出が減少するという予測によるものだった。そして第2四半期はそうであった。5月の中国の輸出は突然縮小し、前年同月比7.5%減となり、市場予想の中央値では同1.8%減だった。予想通り、世界経済の成長鈍化(とその予想)が重要な役割を果たした。
中国の経済活動再開により、小売売上高が急増し国内は勢いづいた。しかし、世界第2位の経済大国である中国は、世界経済の成長の風向きに大きな影響を受ける。このことがなぜ重要なのかを理解するために中国製造業PMI(購買担当者景気指数)を見てみると、中国の製造業PMIは市場予想の49.5に対し、48.8という結果になった。50を下回る数値は、経済活動がますます縮小していることを示す。
それを踏まえたうえで、人民元の前途はどうなるのだろうか?直近のモデルは、第3四半期の為替レートは前年同期比で約8.3%上昇すると示す。標準偏差プラスマイナス1の範囲を使用すると、米ドル/人民元のレートは第2四半期の見通しであった7.08~7.52より上昇し、約7.49~7.96ということになる。その要因を見てみよう。
ひとつは、ブルームバーグの予測によれば、中国の輸出は第3四半期も縮小するとされていることだ。それと同時に、G20のGDP成長率の鈍化も続くとされている。これは、オーストラリアとカナダの中央銀行が、物価上昇圧力が強まる中、サプライズとなる利上げをおこなった結果であろう。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のピボット(金融政策の方向転換)への期待は、ますます遠くに追いやられている。
これらすべてを考慮すると、米ドルは人民元に対し、第3四半期もさらに上昇する可能性がある。複数の中央銀行がサプライズとなる利上げを続けており、差し迫った政策転換の兆しはほとんど見られない。そのため、世界経済の成長と、ひいては中国の対外経済は圧迫され続け、結果として人民元が軟化する可能性がある。



米ドル/人民元の予測
出所:Bloomberg、モデル作成:ダニエル・ドゥブロフスキー
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。