※2023年9月8日14時21分更新
ドル、ドル/円、ドル指数、円、米国債利回り、日本国債、日銀、神田財務官 - トーキングポイント
- 8日のNY外国為替市場でドルは上昇し続け、ドル指数は6カ月ぶりの高値を更新
- 好調な米経済指標が金利市場を下支えし、米国債利回りは堅調に推移
- 日本国債の利回りは横ばい。円安阻止の為替介入はあるのか?



週末に向け、ドルは堅調に推移している。好調な米経済指標が米国債利回りを上昇に導き、米連邦準備制度理事会(FRB)による動向が注目される中、7日のニューヨーク外国為替市場でドルは上昇し、円が10カ月ぶりの安値、ユーロと英ポンドは3カ月ぶりの安値に沈んだ。
ドル指数は105.16まで上昇し、今年3月のシリコンバレー銀行(SVB)破綻以来6カ月ぶりの高水準となった。
7日に発表された先週(9月2日に終了した週)の米失業保険申請件数は21万6,000件と、予想(23万3,000件)、前週(22万9,000件)をともに下回った。先週は堅調な経済指標が続いたことも影響した可能性がある。
しかし、金利市場では、FRBが9月20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げに踏み切る可能性はほぼゼロと見られている。
長期金利の指標となる米10年債利回りは、北米時間には4.30%を上回る場面もあったが、8日の取引に向けては4.25%近辺に落ち着いている。先月付けた16年ぶりの高値4.36%をそのうちまた試すかもしれない。
一方、日本の新発10年債利回りは0.65%近辺で安定している。
結果、米国債利回りと日本国債利回りのイールドスプレッドは拡大しているが、ドル/円が昨年10月に高値を付けたときほどの乖離ではない。



ドル/円と日米10年債のイールドスプレッド
資料:TradingView
今週前半、神田真人財務官が控えめなトーンで円安をけん制した。
為替市場における投機的な動きについて、「こうした動きが続くようであれば、政府は適切に対処する」と述べた。
ドル/円は148超えを試みているが、3日連続で失敗し、きょうは下落している。この発言が効いているとの見方がある。
ドル/円が再び高値を更新するようなら、日本政府高官が円安を阻止するために再び発言すると見るのが妥当かもしれない。
市場では、昨年10月の高値151.95が視野に入るまでは、日銀による物理的な介入はないというのが大方の見解である。
もちろん、中央銀行の為替介入が必ずしも成功するとは限らないことは歴史が証明している。特に最初のうちは失敗も多く、望む方向が根本的なファンダメンタルズと矛盾している場合は、成功は容易ではない。
そのことを念頭に置けば、152近辺の高値を超える可能性も否定できない。
日銀の高田創審議委員も今週発言しており、今後、この2人の高官による発言がドル/円の値動きに影響を与えるかもしれない点に留意されたい。
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--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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