


原油は第3四半期の急落に続き、2022年末の3カ月も下落を続ける可能性があり、世界経済成長への期待悪化の重圧に価格が陥没しているように見える。原油価格のベンチマークであるWTIは、2020年初頭の新型コロナウイルスパンデミックの発生以来最悪の3ヶ月間となり、20%近く下落して9月を終える勢いである。
マーケットの関心が、行き当たりばったりの供給から需要の悪化に移っているようである。実際、ロシアのウクライナ侵攻によって世界的な生産量の混乱が続く中、OPEC+の主要輸出国グループは協調減産を目標にギアを切り替えており、下落が拡大している。今年の大半は毎月の増産が約束されていた。
米国連邦準備制度理事会(FRB)を中心とする世界の中央銀行が急上昇するインフレを抑制するために、金利を急上昇させている。そのため、あらゆる種類の経済活動の資金調達にコストがかかり、成長が鈍化している。エコノミストは、来年の世界のGDPは2.5%増加すると見ており、3月時点の3.6%という予想から下方修正した。2年物国債の実質利回りは、この間、-3.01%から1.77%に上昇した。
ウクライナ紛争が停戦に向かえば、相場は売り圧力にさらされる可能性がある。東ウクライナのドネツク、ルハンスク両地域がロシア併合に関する住民投票を急ぐ中、モスクワが9月末に「祖国」防衛のため30万人の予備兵を動員したことは、そうした転換が近いことを示唆しているのかもしれない。
ウクライナの反攻が見事に成功した中で、今回の増援は2014年からの領土獲得確保を目的としているようである。親ロシア派の分離主義が軍事的な活動となり、クリミアが手を結んだ時期である。このような要塞化は、クレムリンがもはや、より有利な和解を武力で手に入れられそうだとは考えていない可能性を示唆している。これは、停戦の準備が整ったということかもしれない。
テクニカル面では、2020年4月以降の上昇トレンドが一服している。85.41のレジスタンスラインからサポートラインに転じたポイントを割り込んだことで、次の大きな変曲点である75.27が明らかになったように見える。この後、66.60と61.74に注目すべき下値の壁が控えている。93.53を上回る足掛かりを取り戻すことが、当面の売り圧力を中和するために必要だろう。
WTI原油先物(週足チャート)

TradingViewでチャート作成:イリヤ・スピヴァク
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