米国株見通し
- S&P 500とナスダック100は、脆弱な投資家心理を背景に続落
- トレーダーは、今後のFRBの金融政策に影響を与える可能性のある重要な経済指標の発表を前に、方向性が出る大規模なポジションを取ることを避けているようだ
- 10日発表の7月米インフレ指標により、今後数日間の米国株式相場の基調が決まる
トレードに役立つメール配信サービス
DailyFXからタイムリーで国内外のマーケット情報を受け取ることができます。
9日の米国株は下落。経済活動の鈍化とインフレの高進により、経済に対する不確実性が高まる中、警戒するムードが広がり、積極的な取引は控えられた。S&P 500種株価指数は0.42%安の4,122で続落。一般消費財株とIT関連株が下げを主導した。その他、ナスダック100指数は1.15%安の13,008で取引を終了した。大きな比率を占めるテスラ株とエヌビディア株が、今後の業績悪化への懸念から大幅安となったことが響いた。
市場に広がる警戒感とは別に、重要な経済指標、すなわち最新のインフレ指標の発表を前に、様子見を決め込むトレーダーも多かったようだ。間もなく発表される米インフレ指標が市場心理を改善するのか、最近の株価反発を抑制するのか、投資家はその動向に注目している。
米労働統計局は10日朝(米国時間)、7月の消費者物価指数(CPI)を発表する。総合CPIは、6月は前月比1.3%上昇し、今回7月は同0.2%上昇すると予想されている。この結果、前年同月比では6月の9.1%上昇から8.7%上昇へと、伸びは鈍化すると見られ、ゆっくりとではあるが歓迎すべき方向性の改善である。
株価が再び、先月末に見られたような力強い回復を遂げるためには、インフレ勢力が納得できる程度に緩和しているという兆候を示す必要がある。それが、今年後半または2023年に米連邦準備制度理事会(FRB)がタカ派的姿勢を弱める唯一の道だからである。つまり、10日発表のCPIが低ければ低いほど、リスク資産である株式には有利となる。一方、2022年に何度も起こったように、数値が上振れした場合、市場は利上げをより急ピッチで進めることを織り込み始め、株式は大きく売られる可能性がある。



ナスダック 100 テクニカル分析
ナスダック100指数は、ここ数週間、力強く上昇したが、13,350付近のチャネルレジスタンスを突破できず、現在、戻され始めている。まだ回復基調は崩れてはいないが、今後数日間で心理的水準である13,000を割り込むようなことがあれば、状況は一変する可能性がある。この弱気シナリオが実現した場合、12,600を目指す動きとなり、その後は50日単純移動平均線付近の12,250の下値を再び試す展開となる可能性がある。
一方、買いが優勢となって指数を押し上げた場合、最初の上値抵抗線は13,350になりそうである。この上値を決定的に上回った場合、強気の勢いは加速し、13,550へ向けて上昇する展開となろう。
ナスダック100 テクニカルチャート

資料:TradingView
トレーダーのための教育ツール
• まだ始めたばかりですか? 自信をもって取引をできるようになるためにビギナーズ向けトレーディングガイドをダウンロードしてください。
• 成功しているトレーダーの特長はこちらからご覧いただけます。
--- DailyFX.com マーケット・ストラテジスト ディエゴ・コルマン著