米国株式市場 – トーキングポイント
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8月の米国株式相場は、インフレはピークに達し、最悪期は脱したとの見方から、米連邦準備制度理事会(FRB)が引き締めペースを緩めるとの期待に支えられ、楽観的な雰囲気でスタートした。しかし、日が経つにつれ、米連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーらが、たとえ景気を犠牲にしても、インフレ率を抑えることが最大の目的だと明示したため、米株指数は揺らいだ。このような状況下、ダウ工業株30種平均とS&P 500種株価指数は月間ベースで3.7%以上の下落となった。ナスダック 100指数に至っては、同 5%以上、値を下げた。
31日の米国株式市場では、金利上昇の影響を見極めたいとする慎重ムードが続く中、米国株価指数は早朝の上昇分を帳消しにして4日続落となり、センチメントが悪化していることを示した。市場の厚みが薄く、クリーブランド地区連銀のメスター総裁、ニューヨーク地区連銀のウィリアムズ総裁といったFRB高官の発言が市場のムードを悪くした可能性がある。両氏とも、来年は金利が4%を超えることもあり得ると強調し、2023年に利下げする可能性は排除した。
さらに、住宅ローン申請件数が減少し、米民間雇用者数の伸びは鈍化しており、不動産セクターなどの成長鈍化を示唆している可能性はあるものの、これらの数字は、景気後退やFRBの引き締めペースの減速を示唆するほど弱いものではない。
31日のダウ平均は0.88%安、S&P 500種指数は0.78%安となり、共に月間安値を更新した。S&P500種指数の次のサポート水準は、フィボナッチ・リトレースメント23.6%の3,918付近である。
S&P 500 (SPX) 日足チャート

資料: TradingView
セクター別の動きとしては、31日は通信サービスが横ばいで終わったのを除き、S&P 500種指数の全セクターが下落して取引を終了した。家庭用品小売り大手のベッド・バス・アンド・ビヨンド、株式取引アプリのロビンフッド、パソコン大手のHPといった企業のニュースが、株価下落を促した面もある。
ベッド・バス・アンド・ビヨンドは今月初め、ミーム株(SNSなどで大きく注目が集まり、短期間で株価が急騰する銘柄の総称)の復活らしき動きの中で急騰したが、31日は新株発行と100店以上の店舗閉鎖を伴う事業戦略計画を発表し、大幅続落となった。
一方、現在の金利上昇局面における金先物相場の動きについても触れておく必要がある。金は、インフレに対するヘッジと考えられているにもかかわらず、5カ月連続で下落している。金利の上昇は貴金属を保有するトレーダーにとっては機会費用の増加を意味する。すなわち、貴金属ではなく、他の資産に投資した場合の利益が大きくなる可能性が高まることになり、よって、利回りから利益を得られない資産は魅力が低下する。このため、金先物相場(XAU/USD)は4月の高値から14%以上下落し、FRBのタカ派的な姿勢を考慮すると、さらなる下落の可能性も残っている。
金先物相場と米10年国債利回りの相関関係

資料:TradingView
金先物 月足チャート

資料:TradingView



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--- DailyFX.com リサーチチーム セシリア・サンチェス-コロナ著