米国株見通し
- S&P500とナスダック100は続落も、下げは限定的
- FRB高官が「インフレ抑制のためのFRBの取り組みは達成にはまだほど遠い」と述べたことを受け、米国債利回りは急上昇
- 3日朝に発表される米ISM非製造業景況指数は、今後の相場の動きを左右する要因となる可能性がある
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2日の米国株は続落。ペロシ米下院議長の台湾訪問が中国を怒らせ、中国人民解放軍東部戦区が台湾周辺で実弾射撃を含む軍事演習を実施したことから、アジアにおける地政学的緊張が高まり、市場のセンチメントを冷やした。米国債利回りの急上昇も慎重ムードを助長し、リスク資産が再び7月下旬の上昇気流に乗るのを阻んだ。
結局、S&P500種株価指数は、不動産セクターが下げを主導し、0.67%安の4,091で取引を終了した。一方、ナスダック100指数は、心理的水準である13,000付近の重要なテクニカルレジスタンスを突破できず、0.30%安の12,902と小幅安で引けた。
サンフランシスコ地区連銀のメアリー・デイリー総裁やクリーブランド地区連銀のロレッタ・メスター総裁など複数の米連邦準備制度理事会(FRB)高官が、インフレ抑制のためのFRBの取り組みは達成にはまだほど遠く、経済活動の需給バランスを調整するためにやるべきことが残っていると述べたことを受け、米国債利回りは取引時間中に急騰した。市場では深刻な景気後退を避けるためにFRBは2023年に政策転換するとの観測が高まっているが、これらの発言は、FRBが中期的に積極的な利上げを継続する可能性を示唆している。
目先の米国株式市場では引き続き、企業決算が関心を集めるが、サービス業活動を示すISM非製造業景況指数や雇用統計など、今後数日間には注目すべきインパクトの強い経済指標の発表も控えている。
3日に発表される7月の米サービス業PMI(購買担当者景況感指数)確定値は、6月の55.3から53.5に低下すると予想されており、景気が引き続き減速していることを示唆すると見られている。総合PMIは経済の健全性の感度を示すが、インフレ要素の調査として仕入れ価格指数にも注意を払う必要がある。この指数が製造業の最近の動向に合わせて急速に下がり始めれば、経済活動は減速しているにもかかわらず、センチメントが改善する可能性がある。



ナスダック100 テクニカル分析
ナスダック100指数は、ここ数日、13,000の上値レジスタンス水準を何度も試しているものの、まだ突破はしていない。センチメントが改善し続けるためには、今後数日間にそのテクニカル水準を決定的に上回らなければならない。ブレイクアウトできれば、2021年11月の高値と2022年6月の安値から形成されたフィボナッチのリトレースメント38.2%の水準である13,240を目指す動きとなるかもしれない。さらに上昇を続ければ、上値試しの焦点は13,550に移るだろう。一方、売りが再び優勢となり、指数を押し下げた場合は、最初の下値サポートとして12,600、次いで12,250が意識される展開となろう。
ナスダック100 テクニカルチャート

資料:TradingView
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--- DailyFX.com マーケット・ストラテジスト ディエゴ・コルマン著