米国株見通し
- 米GDPが2期連続でマイナス成長となったものの、S&P500とナスダック100は続伸
- 景気後退リスクが高まる中、米FRBはまもなく積極的な金融引き締め政策を緩めるとの観測から楽観的なムードが広がった
- 米国時間29日に発表される6月のコアPCEに市場は注目
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28日の米国株は、取引開始直後こそ大きく下げたが、その後は急反転した。同日発表された米国の国内総生産(GDP)成長率など、経済指標は景気減速を示しているにもかかわらず、米連邦準備制度理事会(FRB)をきっかけとした上昇相場を維持し、続伸した。
S&P500種株価指数は1.21%高の4,072で取引を終え、6月9日以来の高水準となった。マイクロソフトとテスラの株価が力強く上昇したことが指数上昇に貢献した。ナスダック100指数は1.5%の下落分を帳消しにし、0.92%高の12,718で取引を終了した。米国の10年国債利回りが一時2.65%まで低下し、4月中旬以来の低水準となるなど、米国債利回りの低下が下支えとなった。
27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後の記者会見でFRBは、新たなタカ派的な爆弾発言をすることもなく、異例の大幅利上げは今後の経済指標の動向次第とした。将来的に利上げペースは鈍る可能性が示唆されたとの見方から、米国株式市場では明るい投資家心理が維持されている。



経済面では、米国の第 2 四半期の GDP成長率 は年率換算で 前期0.9%減となり、1-3 月期の 1.6%減に続き、2期連続でのマイナス成長となった。経済成長の伸び率悪化は喜ぶべきことではないが、景気後退の進行によりFRBがタカ派的姿勢を予想より早く緩和させ、リスク資産の持続的回復を支えるシナリオになるという意味で、投資家は悪い知らせは良い知らせと考えているかもしれない。
その後、ジャネット・イエレン米財務長官が「雇用創出は続いている」と指摘するなど、経済の強さに自信を見せたため、市場では景気後退が差し迫っているとの懸念が和らぎ、株への強気姿勢をさらに強める形となった。
目先では、高インフレ、需要減退、金融引き締めが米国企業に与える影響を見極めるため、 引き続き企業の決算発表が注目されるだろう。しかし、29日には、FRBが重視しているインフレ指標であるコアPCE(個人消費支出)の発表(前月比0.5%、前年同月比4.7%の上昇と見られている)があり、市場の関心度は高い。市場心理がさらに改善するためには、物価上昇率の大幅な低下を示す経済指標データが必要だが、今夏の終わりまでは見られそうにない。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 20% | -13% | 2% |
週次 | 51% | -28% | 0% |
S&P 500 テクニカル分析
28日の米国株式市場で堅調に推移したS&P 500種指数は、4,065付近の重要な天井を突破し、6月9日以来の高値圏まで上昇した。センチメントの回復ときょうの強いブレイクアウトにより、指数はまもなく次のレジスタンスである4,160/4,175のエリア試しを開始する勢いを得るかもしれない。さらに上げ幅を拡大した場合、心理的水準である4,300付近のチャネル上方の上値抵抗線に焦点が移る。一方、売り圧力が強まった場合は、最初の下値支持線は4,065、次が3,920となりそうである。この2つの下値を割り込んだ場合は、3,815に向けて下降する可能性も否定できない。
S&P500 テクニカルチャート

資料:TradingView
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--- DailyFX.com マーケット・ストラテジスト ディエゴ・コルマン著