米国株見通し
- 8月初日のS&P500とナスダック100は3日続伸が途絶え、反落
- 7月の米製造業景況感指数は2年ぶりの低水準となり、景気の冷え込みが続いていることを示唆
- 今週の株式市場では、米非農業部門雇用者数が相場を動かす重要なカギとなる
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8月初日の米国株は、最近の力強い上昇の後でやや慎重なムードが漂う中、小幅な動きにとどまった。S&P500種株価指数はもみ合いの後、テクニカル面で重要なレジスタンスゾーン付近で失速し、0.28%安の4,119で取引を終了、3日続伸は途絶えた。一方、ナスダック100指数は0.06%安の12,941と小幅安で、米国債利回りの低下によりテクノロジーセクター銘柄への売り圧力は限定的だった。
米株式市場では上昇の勢いが弱まっているように見えるが、これは過去数週間で大幅高となった後の小休止に過ぎない可能性がある。ちなみに、先月は株価が急騰し、S&P 500種指数は月間で9.11%上昇、7月としては史上3番目の上昇率を記録した。この株価の大幅上昇は、季節的な観点からも、短期的なリターンを得る良い機会となるかもしれない。過去のパフォーマンスが将来の結果を約束するわけではないが、1928年までさかのぼってデータを調べてみると、1年の中で「中間に位置する期間」である7月に指数が上昇すると、翌8月の上昇率は平均して77%となっている。
他の相場を動かす要因に注目すると、米経済は引き続き弱含みで、景気後退リスクは高まり、株式や景気動向に左右されやすいコモディティなどのリスク資産の見通しについては先行き不透明感が強まっている。米サプライマネジメント(ISM)が1日発表した7月の米製造業景況感指数は、約2年ぶりの低水準となった。製造業の活動が停滞してきた様子を示唆しており、弱気な景気見通しに対する見方が間違っていないことを裏付ける証左の一つとなった。



米国の国内総生産(GDP)の約12%を占める製造業の生産が低迷しているのは気になるところだが、7月のISM調査では明るい材料もあった。同調査では、生産工程で使用される原材料の価格を示す「物価」指数は18.5ポイント減の60.0となり、過去4番目に大きな低下となった。投入コストの縮小が続けば、今後数カ月間にわたる消費者物価指数の低下につながり、米連邦準備制度理事会(FRB)が今秋にもタカ派的ではない政策スタンスに転じる可能性が見えてくる。
今週は引き続き米国の企業決算に関心が集まるが、5日に発表される7月の非農業部門雇用者数など、相場を動かす可能性がある重要な経済指標は注目に値する。雇用統計は遅行指数ではあるが、景気が急速に鈍化する中、労働市場の健全性や雇用情勢を知るうえで貴重な情報源となる。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 2% | 0% | 1% |
週次 | 29% | -17% | 2% |
S&P 500 テクニカル分析
S&P500種指数はここ数週間、大きく上昇し、6月の安値からの上昇率は13%を超え、市場センチメントが回復している可能性を示唆している。最近の上昇の後、指数は重要な天井となる4,160から4,175にかけてのエリアに接近しているように見える。目先、この水準が決定的にクリアされれば、強気の勢いは加速し、アップチャネルのレジスタンスラインと200日単純移動平均線が位置する4,300付近に向かって上昇する可能性がある。
一方、売り手の勢いが戻り、弱気相場に反転した場合は、最初の下値サポートは4,065となる。この支持線を割り込んだ場合は、50日単純移動平均線付近の3,915に向けて下落する可能性に備える必要がある。
S&P 500 テクニカルチャート

資料:TradingView
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--- DailyFX.com マーケット・ストラテジスト ディエゴ・コルマン著