20日にFOMCを控える中、米国CPIが公表された。コアインフレは、インフレ鈍化を示したが、S&P500指数の今後の見通しとは
サマリー
- 米国消費者物価の結果
- FOMCを前にした金融市場の織り込み
- S&P500指数の見通し



米国インフレ率
20日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控える中、最重要指標である8月分の米国消費者物価指数(インフレ率、CPI)が公表された。総合CPIの前年と比べた伸びは3.7%となり、2カ月連続で伸びが加速した。原油高の影響がインフレ率の伸びを加速させた。
一方、基調的なインフレ圧力を示すコアCPIの前年比は4.3%となり、引き続きインフレ鈍化を示した。
インフレ率の先行きは、インフレ高止まりの背景の一つであった不動産賃料の下落が見込まれていることに加え、賃金インフレも徐々に収まりつつあり、インフレ鈍化の継続を予想する。

資料:BloombergよりDaily FXが作成
FOMCに備える
米国CPIがまちまちの結果であったことから、金融市場でのFRBの政策金利見通しに対する影響は限定的であった。金融市場では、9月FOMCでの政策据え置き、年内あと1回の利上げがあるかで意見が分かれている。
そのため、20日のFOMCでは、11月以降のFRBの政策金利見通しに注目である。追加利上げを強く示唆するかどうかが焦点になろう。追加利上げを強く示唆しなかった場合、数年来続いた利上げサイクル終了との見方から、米国金利が低下し、金利と逆の動きをする傾向がある米国株が上昇する可能性がある。

資料:BloombergよりDaily FXが作成
S&P500指数の見通し
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 3% | -7% | -2% |
週次 | 30% | -17% | 2% |
S&P500指数は、7月27日を起点とした右肩下がりのレジスタンスラインを上方ブレイクした。また、8月25日を起点とした右肩上がりのサポートラインが機能しており、S&P500は上昇基調を維持している。
米国CPIはまちまちの結果となり、S&P500指数に与える影響は限定的であった。S&P500は上昇トレンドであるものの、RSIは引き続き50前後で推移しており、S&P500の明確なモメンタムを示していない。テクニカル面では、強気シグナルが点灯しているものの、上昇圧力は強くないことを示唆している。
S&P500の上昇圧力が緩慢である中、20日のFOMCに向け、FRBの金融政策を巡る思惑によって、S&P500は上下に動く展開を想定したい。
FRBの利上げサイクル終了との思惑が強まった場合、S&P500は9月1日高値4,541レベルを上方ブレイクできるかに注目。上方ブレイクした場合、S&P500の上昇圧力が強まり、上昇トレンドへの転換が一段と鮮明になる。
一方、FRBが年内追加利上げを実施するとの見方が強まった場合、3月から7月にかけてのS&P500の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント23.6%水準4,419レベルでサポートされるかに注目。サポートされた場合、S&P500の地合いが強まっていることを投資家に印象付けよう。
S&P500日足チャート

資料:Trading View



新たなレポートの配信等はtwitterアカウント@DailyFXJapanで確認できます。
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著