米国株市場 -トーキングポイント-
- 15日のS&P 500、NYダウ、ナスダック100は買い先行で始まったものの、その後失速し、下落して取引を終了。主要なサポート水準まで押し込まれた。
- 金利上昇傾向の中、投資家はFRBの政策を引き金とする景気後退懸念を警戒した対応を続けている
- 市場は、16日発表のユーロ圏のインフレ率、ミシガン大学消費者信頼感指数に注目
トレードの基礎知識
マクロ経済ファンダメンタルズ
推薦者: DailyFX Team
15日の米国株式市場では、製造業の拡大ペース鈍化と消費者需要の軟化を示す一連の経済指標を投資家が消化する中、主要株価指数は狭いレンジでもみ合う展開となり、下落して取引を終えた。しかし、DailyFX経済指標カレンダーに掲載された追加情報で米労働市場の底堅さが再確認されたため、次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合での75ベーシスポイント(bp)の利上げはほぼ確実と見られている。
ダウ工業株30種平均とS&P 500種株価指数は終日もみ合った後、最後の1時間で下げ幅を拡大し、それぞれ前日比0.56%安と1.13%安で引けた。S&Pのセクター別では、ヘルスケアと金融がアウトパフォームした。動画配信大手ネットフリックスと一般消費財セクターのウィン・リゾーツの見通しが改善されたことがセクターの上昇を後押しし、金利の上昇傾向を背景に収益拡大が見込まれる金融株も上昇した。
一方、S&P 500種指数の構成銘柄の中で不調だったのは、エネルギー株とテクノロジー株だった。エネルギー株は、15日に原油先物相場が続落したため、再び打撃を受けた。景気後退、ひいては原油の需要低下につながる恐れのある大幅な利上げへの警戒感が強く、原油の供給懸念は影を潜めている。
ハイテクセクターの下げを主導したのは、ソフトウエアメーカーのアドビだ。新興企業の買収を発表した一方で、第4四半期の見通しは強弱まちまちで、15日の株価は16%以上急落し、2020年3月以来の大幅安となった。同様に、金利の上昇により景気が後退するとの見方がテクノロジーセクターの重しとなり、ナスダック100指数は12,000のサポート水準を割り込み、前日比1.71%安となった。
ナスダック100 日足チャート
資料:TradingView
経済指標面では、9月10日までの1週間の新規失業保険申請件数が予想を下回り、米労働市場の底堅さを確認する内容となった。米連邦準備制度理事会(FRB)は継続する労働市場の強さを意思決定の要因に挙げ続けており、今回の結果はFRBのタカ派的な姿勢の後押しにつながる。この結果はまた、消費サービスセクターを支えるかもしれないが、8月の米小売売上高は異なる様相を呈している。
米商務省が発表した8月の小売売上高は予想に反して増加したが、月ごとの変動が大きい自動車・同部品を除くと減少した。同様に、前月の小売売上高は前月比0.0%から0.4%減へと大幅な減少へと改定され、個人消費の鈍化がうかがえる。
同様に、インフレと製造業活動も15日、減速の兆しを見せた。ニューヨーク州の製造業の景況感を示すエンパイア・ステート製造業指数と、東海岸3州の製造業の景況感を示すフィラデルフィア連銀製造業指数の9月の数値は、ともにマイナス圏にとどまり、景況感の弱まりを示した。同様に、エンパイア・ステートの支払価格指数では、物価上昇の伸び鈍化が明らかになった。この新情報により、来週に控えるFOMCの政策金利に対する市場予想は修正された。
14日の時点で市場は、来週のFOMC会合で100bpの利上げ実施の可能性は34%と予想していた。15日、本記事を執筆している時点では、この予想は22%に低下している。
足元では、16日のミシガン大学消費者信頼感指数とユーロ圏のインフレ率に注目が集まるが、これらは16日の米国市場の前場寄り付き前に発表される。



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--- DailyFX.comリサーチチーム セシリア・サンチェス-コロナ著