※2023年5月31日17時53分更新
金、金/ドル - 値動き
- 金/ドルは、米国債利回り低下の恩恵を受け、重要なサポートを上回る水準で推移している
- 金/ユーロは、重要なレジスタンスエリアでもみ合っている
- 金/ドルと金/ユーロの見通しと注目すべき水準とは?



30 日は、米連邦債務上限を一時停止することで米両党が合意し、破滅的なデフォルト(債務不履行)は回避されるとの楽観的な見方が広がったことで、米国債利回りが低下し、それを受けて金先物相場は上昇した。しかし、金相場の短期的な下落トレンドは終わったのだろうか?
米政府の資金繰りが行き詰まる可能性がある6月5日までに、この合意は議会から承認を得る必要があるにもかかわらず、米短期債利回りは急低下した。この合意案の採決は31日に下院で行われる見込みで、6月5日までに債務上限の適用を停止するための法律が成立すれば、米国のデフォルトは回避されることになる。
金/ドル (XAU/USD) 240分足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView、下記注意書き参照
しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で再び利上げを実施する確率が高まっているため、金相場は上値を抑制される可能性がある。CMEグループのフェドウォッチによると、6月のFOMC会合で25ベーシスポイントの利上げが実施される確率は、約1週間前の25%から60%に上昇しているという。
金/ドル (XAU/USD) 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView、下記注意書き参照
金/ドル:短期トレンドは引き続き下向き
テクニカル面では、金/ドルは240分足チャートで5月上旬からの明確な下降トレンドチャネル内にとどまっており、この点はトレンド/モメンタム指標に基づき色分けされたローソク足チャートで確認できる。金相場は1,985-2,000エリア(240分足チャート上での200期間移動平均線と3月下旬の高値を含む)を上抜けすると、目先の下落圧力が弱まる。
金/ドル (XAU/USD) 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
日足チャートでは、色分けされたローソク足チャートが示すように、大局的な強気相場の中でトレンドはもみ合い局面に移行している。これまでの統計を鑑みると、もみ合いは数日から数週間に及ぶことがあるようだ。今のところ、金相場は2022年末から続く上昇トレンドライン、89日移動平均線、日足チャート上の一目均衡表の雲下端を含む、かなり強いサポートが1,930前後に維持されている。このサポートは非常に重要であり、これを割り込むと200日移動平均線(現在1,835付近)に向けて下降する可能性が出てくる。
金/ドル (XAU/USD) 240分足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
ここ数カ月の動きとして、日足チャートだけでなく、より長い期間のチャートでのモメンタムも気になるところだ。3月28日付、4月16日付、4月24日付、5月10日付、5月17日付の記事、そして最新記事「金価格見通し:調整売りはひとまず終了?」(5月22日付)をご参照ください。
金/ユーロ (XAU/EUR) 月足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
金/ユーロ:長期チャートで勢い鈍る
金/ドル同様、金/ユーロも、ここ数カ月間は高値を切り上げているにもかかわらず、長期チャートでの勢いは衰えている。直近では、金相場はユーロに対し、1,865-1,885に位置する3月の高値圏を上回るに至らなかった。2021年初頭から続く上昇トレンドライン(現在1,725近辺)を下方ブレイクすると、金/ユーロは上昇の勢いが鈍化するだろう。
このチャートでは、青いローソク足は強気が優勢な局面、赤いローソク足は弱気が優勢な局面を示しています。黒いローソク足はもみ合い局面を表していますが、時にはトレンドの終焉を形成することもあります。
注:ローソクの色は予測ではなく、単にその時のトレンドを示しています。実際、ローソクの色は次のローソクの際に変化することがあります。200期間移動平均線付近やサポート/レジスタンス付近、もみ合い/不安定な値動きの際は、本来のトレンドとは異なる、騙しのパターンが発生する可能性もあります。筆者は情報の正確さを保証しかねます。また、過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを示唆するものではありません。本情報のご利用は、自己責任にてお願いします。



--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
ジャラディ氏に連絡するには、Twitterで @JaradiManish までお願いいたします。