タカ派姿勢の英中銀が今後ユーロ/ポンドのさらなる下落をうながす
6月22日に発表された、政策金利の0.5ポイント引き上げは予想を上回るサプライズとなったが、英ポンドはそれ以前から上昇していた。ユーロも最近は底打ちしたように見え、ユーロ/ポンド(EUR/GBP)が反発した結果、この記事の執筆時点では0.8593付近で取引されている。
BOE(英国中央銀行)は5月のインフレ統計を受けて、利上げをする可能性が高まった。一方、ECB(欧州中央銀行)はタカ派姿勢を取り続けているが、経済状況が依然として懸念されていることから、やや勢いを失っていると見られる。6月のBOEの会合後にハント財務相とスナク首相が言及したように、英国経済が予想を上回っていることを考慮すると、英国の利上げへの道筋はより現実的なものになる可能性が高い。
英国のインフレ率もユーロ圏に比べて高止まりしており、BOEが第3四半期に向けてECBよりも積極的な姿勢を見せなければならないことを改めて確認できるだろう。
2023年の英国とユーロ圏における総合インフレ率の比較
出所:ECB及びBOE、チャート作成:ザイン・バウダ
初めて聞く話かもしれないが、少なくとも英ポンドに関しては、逆イールド(短期金利が長期金利の水準を上回る状態)がプラスに働くことがある。逆イールドは、理論的には英ポンドなどの準備通貨(各国政府もしくは金融当局の外貨準備の総額において相当量を占める通貨)に有利に働く可能性があり、米ドルに関しても同じことが言える。これは、英ポンドが第3四半期も支持され続け、G10通貨の多くに対して上昇すると考えられる理由の1つだ。
英国債利回り 10年と1ヶ月の比較

出所:トレーディングエコノミクス、チャート作成:ザイン・バウダ
テクニカル分析によるユーロ/ポンドの今後の予想:戻り売りに妙味
テクニカル分析の観点から、週足チャートで相場を見ると、2022年3月の安値以来、継続している全体的な上昇トレンドが崩れたところである。週足のローソク足は0.8560を下回って終値を付けており、トレンドが弱気に変化したことを確認できると同時に、上昇トレンドラインを下にブレイクしていることがわかる。
現在の週足のローソク足は今週、トレンドラインを再び試した後、100日移動平均線もレジスタンスラインとなり跳ね返されている。週足のローソク足は、逆ハンマーのローソク足パターンとして終了する可能性があり、今後1週間で0.8700〜0.8800の水準に向けてさらに上昇することを示唆している。
ユーロ/ポンド 週足チャート

出所:TradingView、チャート作成:ザイン・バウダ
週足での値動きを考慮すると、0.8700の水準に多くのテクニカル指標の重要な水準が存在しているため特に魅力的であり、現段階ではより深いリトレースメント(引き戻し)も否定できない。
日足チャートでは、100日移動平均線が200日移動平均線を下回ろうとしているため、デッドクロスが形成されており、弱気の勢いがさらに強まっていることを示している。以下の日足チャートを見ると、0.8700に向けた引き戻しの方が、潜在的な売り取引に対して、よりよいリスク・リターンの機会を提供する可能性がある。そのため、下値の目標は0.8342付近で、その下は2022年の年安値である0.8200付近となるだろう。
ユーロ/ポンド 日足チャート

出所:TradingView、チャート作成:ザイン・バウダ