WTI原油、中国、利下げ、景気支援、人民銀、PBOC―トーキングポイント



中国人民銀が利下げ
中国経済がゼロコロナ政策撤廃以降も低迷する中、中国人民銀行(中央銀行)による景気支援スタンスが明確になっている。7日物リバースレポレポート、1年物貸出金利に続き、事実上の政策金利と位置付けられる1年物及び5年超のローンプライムレートを、それぞれ3.65%から3.55%、4.3%から4.2%に引き下げた。金利の引き下げ幅は一部で予想されていたものより小幅であった。
ただし、金融政策のみで景気浮揚効果がどの程度あるかは不透明感がある。世界景気の減速も進行する中、中国当局からの大幅な財政刺激策がない限り、中国景気の急回復、それに伴う資源需要の回復は見込みづらい。
しかしながら、中国の債務が増加している中、金融不安を招きかねない更なる債務膨張に繋がる大規模な財政刺激策は打ち出しづらい。実際に中国国務院が16日の会議後に新たな景気刺激策を打ち出すのではとの期待感が一部高まっていたが、具体的な発表はなかった。景気と金融不安、中国当局は難しい舵取りを迫られているが、財政刺激策がなければ、中国景気の急回復、そして資源需要の急拡大は見込みづらい。
原油のセンチメント見通し:やや強気
IGCSによると、原油を取引する個人トレーダーの約77%がネットロング(原油を買い持ち)にしている。ほとんどの持ち高はまだネットロングに傾いているため、価格は低下する可能性を示唆している。しかしながら、先週からネットロングのトレーダー数は、31.51%低下している。このことを考えると、原油価格は上昇する可能性がある。
IG顧客センチメント:原油




資料:IG顧客センチメント
原油価格見通し
下落トレンドからの反転を示唆する陽の包み足(抱き線)が示現して以降、原油価格は上昇し、20日指数移動平均線を上抜けている。
一方、RSIは50弱で推移しており、MACD(移動平均収束拡散手法)ライン、シグナルラインも概ね横ばいであり、明確なトレンドを示していない。
IGCSに基づく個人トレーダーのセンチメントはプラス材料であるものの、中国の大幅な財政刺激策が見込めないことは原油価格にとってマイナスであり、テクニカル面も強弱入り混じるシグナルが点灯していることから、原油価格の見通しを中立とする。
下落局面では、水平サポートライン67ドルでサポートされるかに注目。下方ブレイクした場合、3月以来の65ドル割れが視野に入る。
原油価格が上昇した場合、レジスタンスとなっている50日指数移動平均線(現在72.5ドル)を上抜けるかに注目。50日指数移動平均線を上抜け、更に73.21ドルの水平レジスタンスを上抜けると、原油価格の見通しを強気に転換する可能性が高まる。
WTI原油価格日足チャート

資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著