※2023年6月16日16時35分更新
日本株、日銀、日経平均株価、米ドル円、日本銀行、金融緩和―トーキングポイント



粘り強い金融緩和姿勢
植田日銀総裁のもとでの2回目の日銀金融政策決定会合が開催され、現行の金融政策の維持が決定され、金融緩和を粘り強く続けていく方針を再確認した。現行の政策維持を受け、米ドル円は米ドル高円安、日本株は上昇しており、今回の結果を金融市場はハト派的(金融緩和的)と判断しているようだ。
今回は年に4回発表する物価見通し(展望レポート)が公表にならず、YCC政策の副作用が懸念されていた日本国債市場の流動性も一時に比べ解消していたことから、金融政策据え置きが大半の見方であった。しかしながら、一部では政策修正の思惑があり、為替オプション市場では、円高に対する警戒感が若干高まっていた。
植田日銀総裁による会見では、現状の物価上振れは一時的である旨の可能性について言及があった。足元の物価上振れを受け、7月日銀金融政策決定会合での金融政策変更の思惑も一部高まっていたが、日銀総裁の会見からは当面の金融緩和を維持する方針が示唆された。当面の金融緩和維持が示唆されたことは、ドル高円安、日本株高要因であろう。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。
米ドル円のテクニカル分析:ドル高シグナル
米ドル円の日足チャートで、テクニカル面で強気のシグナルが点灯している。
- 中立パターンであるシンメトリカルトライアングル(対称三角形)パターンを上方ブレイクし、米ドル高円安トレンドを示唆
- 米ドル高円安を示唆するダブルボトムパターンを形成
日本銀行総裁会見でも、当面の金融緩和維持が示唆され、一段の米ドル高円安トレンドを見込む。昨年10月から今年1月までの米ドル安円高に基づくフィボナッチリトレースメント61.8%水準142.498円への上昇が視野に入る。
一方、最近の円安を受け為替介入の可能性が高まった場合、米ドル安円高が進展、水平レジスタンスである138.422円をトライする可能性がある。レジスタンスを下方ブレイクした場合、フィボナッチリトレースメント38.2%水準136.661円まで円高が進行する可能性がある。
米ドル円日足チャート

資料:Trading View
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -6% | 8% | 5% |
週次 | -8% | 0% | -2% |
日経平均株価テクニカル分析:過熱感が台頭
日経平均株価は、6月13日に提示した目標株価33,743円を、一週間経たずに一時突破した(「日本株見通し:33年ぶりの33,000円!!日本株、次のステップは?」参照)。上昇ピッチが早まっているが、ドル円と異なり、日本株は急上昇を受けた弱気のシグナルが点灯している。
- RSIやMACD(移動平均収束拡散手法)では「弱気の乖離(ダイバージェンス)」が示現し、上昇の勢いが衰えつつあることを示唆
- 20日移動平均線からの乖離率も5%を超過、過熱感を示している
日銀の金融緩和維持を受け、一段高の可能性があるものの、過熱感が和らぐまで中立の見通しとする。下値の目途として、9日指数移動平均線でサポートされるかに注目。明確に下方ブレイクした場合、上昇トレンドが終了した可能性が高まり、20日指数移動平均線(現在31,931円)をトライするシグナルとなろう。
一方、9日指数移動平均線でサポートされた場合、相場の地合いが強いことを投資家に印象付け、再度上昇トレンドに入る可能性がある。その場合、1990年3月高値34,588円が視野に入る。
日経平均株価先物日足チャート

資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著