


原油価格は、ジョー・バイデン米大統領によるエネルギー価格高騰への対応強化により、2022年高値(130.50ドル)から約20%下落した。原油価格は生産量増加と需要緩和が重なり、今後数ヶ月でさらに下落する可能性がある。
米国の生産量はパンデミック前の水準に近づき、原油価格に影響も
バイデン政権はエネルギー価格抑制のため、石油会社と緊急会合を開き、連邦ガソリン税を3ヶ月間停止するように議会に要請した。世界最大の原油消費国である米国の原油生産量は、パンデミック前の水準に近づいており、今後も原油価格に影響を与える可能性がある。
米国 原油生産量(週次)

出所:米国エネルギー情報局
EIA(米国エネルギー情報局)のデータによると、6月3日までの週次原油生産量は11,900千バレルから12,000千バレルに増加し、2020年4月以来の最高値を記録した。OPEC(石油輸出国機構)は6月2日の閣僚会議後に、7月の生産量を日量64万8千バレルに増産すると発表している。
ただし、OPECはすでに2022年の大半を日量43万2千バレルに増産しているため、実際の増産幅は小幅になる可能性がある。また、米国の生産量がさらに増加した場合、OPECは「回復した景気が北半球の夏季休暇シーズンを活性化させる」と考慮しており、従来のスケジュールに戻る可能性もあるだろう。
OPECの生産スケジュール、需要見通しは変わらず
表4- 2:2022年 世界の原油需要

出所:OPEC
OPECによる6月のMOMR(月例石油市場レポート)では、「2022年の石油需要の伸びは日量340万バレルで横ばい」としており、「世界の石油需要は平均日量1億29万バレルと予測され、前月の予測と同様だ」と述べられている。
また、需要は2019年を日量9万バレル上回ると予測している。米国経済に減速の兆しがみられることから、「足元の地政学的な動向と下半期末に向けたパンデミックによる不確実な展開は、パンデミック以前の水準への回復見通しに大きなリスクをもたらし続けている」として、OPECに今年後半の減産を促す可能性があるとした。
バイデン政権の政策や米国の原油生産量増加により、原油価格が下押しされる可能性がある。さらに、世界の原油需要の見通しが悪化した場合、今後数ヶ月は弱気相場となる可能性もある。