WTI原油、生産者物価、リビア、供給懸念―トーキングポイント



米国利上げ終了近い&リビアで原油供給懸念
米国消費者物価指数に続き、生産者物価指数も前年同月比で3年ぶりの低い伸びとなるなど、FRBの利上げ局面終了が近いとの見方を強め、米国金利低下、米ドル安が進展し、原油価格は上昇した。原油価格は米ドル建てで決定されていることから、USDが安い(高い)ほど原油を多く(少なく)買えるため、USD下落時には原油価格が上昇する傾向がある。また、利上げは景気の下押し圧力となり、原油に対する需要が後退するとの思惑から、原油価格の下押し圧力となる。利上げ停止は原油価格のサポート要因である。
加えて、主要産油国であるリビアの主要油田にて抗議活動の影響で操業停止に追い込まれており、供給懸念も原油価格の上昇要因となった。リビアはOPECにも加盟しており、世界19位の石油生産を誇る有数の産油国である。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 13% | 0% | 4% |
週次 | 7% | -5% | -1% |
原油価格見通し
原油価格は、6月5日高値74.92ドル(1バレル当たり)、更に4月末の高値76.72ドルを上抜け、反転パターンである逆ヘッドアンドショルダー(逆三尊)が示現している。また、20日指数移動平均線が50日指数移動平均線を上抜ける強気の「ゴールデンクロス」が成立しており、テクニカル面では強気のシグナルが点灯している。
加えて、米国の利上げ局面終了が視野に入りつつあり、主要産油国であるロシアやサウジアラビアも原油減産や価格安定に向けて協調姿勢を示している中、原油価格の一段高を見込む。4月24日高値79.14ドルが視野に入る。更に上昇の勢いが衰えなかった場合、4月12日から5月3日の原油の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント78.6%水準80.16ドルをトライしよう。
一方、リビアで原油生産が開始した際は、供給懸念が解消し、原油価格が下落する可能性がある。その場合、6月末高値で74.92ドルを下回るかに注目。下回らなかった場合、6月末高値がサポート転換したことが明確になり、原油相場の地合いが強いことを投資家に印象付け、上昇トレンドが一段と鮮明化することを見込む。
WTI原油価格日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著