FOMCの結果が27日未明に公表されるが、FRBの利上げ終了が明らかになるかもしれない。米国の金融政策は原油価格にとっても重要であるが、今後の見通しは?



サマリー
FRB利上げ終了は原油をサポート
米国インフレ鈍化に伴い、米FRB(中央銀行に相当)による利上げ局面終了が近いとの見方が強まっている。FRBの利上げ終了が近付く中、米国債利回りが大きく上昇する可能性は後退していると見込む。
米国債先物(10年)のヘッジファンド等(投機筋)のポジションでは、昨年後半以降、米国債先物のショートポジション(先物の売り持ち)が急速に積み上がっていた(米国債利回りの上昇要因)。しかしながら、足元ではショートポジションを小幅に削減しており、米国債利回りに対して「上昇」から「低下」に見方を転じつつあることを示唆している。FRBの利上げ終了が近付く中、依然として高水準のショートポジションが一段と積み上がることは見込めず、利上げ終了に伴いショートポジションを解消する動きが強まり、米国債利回りの低下に寄与する可能性がある。

資料:BloombergよりDailyFXが作成
米国債利回り上昇のリスクが後退、利回りが低下する可能性があることは、米ドル安を通じて原油価格をサポートする可能性がある。原油価格は米ドル建てで決定されていることから、USDが安い(高い)ほど原油が多く(少なく)買えるため、USD下落時には原油価格が上昇する傾向がある。
原油価格と米ドル指数

資料:Trading View
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 8% | -7% | -2% |
週次 | 2% | 1% | 1% |
原油価格見通し
WTI原油価格は、6月後半に67ドル台まで下落後、77ドル台まで急上昇した。その後、短期的な保ち合い期間のチャートパターンである「上昇ペナント」を形成していたが、21日に上方トレンドラインを終値ベースで上抜け、4月24日高値79.14ドルを更新した。結果、4月以来初めて200日指数移動平均線を上抜けており、上昇トレンド再開が明確になっている。
テクニカル面での強気シグナルに加え、
- FRBの利上げ終了が近い
- 原油の一大消費国である中国の景気刺激策の期待感が高まっている
- ロシアやサウジが原油減産や価格安定に向けた協調姿勢を示している
といった点を背景に、4月12日から5月3日にかけての原油の値動きに基づくフィボナッチリトレースメント78.6%水準80.16ドルが視野に入る。更に上昇の勢いが衰えなかった場合、4月12日高値83.49ドルをトライしよう。
一方、原油価格のリスクシナリオとして、FOMCにて一段の利上げが示唆され、世界景気の後退懸念が高まった場合があげられる。その場合、フィボナッチリトレースメント38.2%水準73.87ドルへ下落する可能性がある。下方ブレイクした場合、6月21日高値72.68ドルでサポートされるかに注目。更に、下方ブレイクした場合、70ドルに向けて下落するシグナルとなる。
WTI原油価格日足チャート

資料:Trading View



新たなレポートの配信等はtwitterアカウント@DailyFXJapanで確認できます。
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著