EIA、原油在庫、中国、貿易統計、OPECプラス、WTI原油、強気の乖離―トーキングポイント



米国エネルギー情報局(EIA)は週間原油在庫量変化を公表し、原油在庫が増加するとの事前予想に反して減少した。需給が引き締まるとの観測が高まったことからWTI原油価格は上昇した。

資料:Trading Economics
また、世界第二位の石油消費国である中国にて貿易統計が公表され、輸入は依然として前年と比べてマイナスとなり、中国経済が盛り上がりに欠けていることを示唆した。しかしながら、中国貿易統計を受けた原油価格への影響は限定的であった。昨年末のゼロコロナ政策撤廃後、中国の経済再開(リオープン)期待が高まっていたが、相次ぐ低調な経済指標を受け、既に中国の景気回復に対する期待は萎んでいる。今回の低調な貿易統計に対する原油価格の反応が限定的であったように、今後も低調な中国経済指標が公表されたとしても、原油価格に対する影響は軽微な可能性がある。
中国貿易統計

原油価格のテクニカル分析:明るい兆し
OPECプラス会合での協調減産の延長、サウジアラビアの自主減産を受け、WTI原油価格は一時水平レジスタンスである73.21ドルを上方ブレイクした。その後70ドル近辺まで下落後反転し、4時間足チャートで200期間指数移動平均線突破(現在72.66ドル)を巡る攻防を繰り広げている。
WTI原油価格4時間足チャート

資料:Trading View



日足チャートで、上昇トレンドへの反転を示唆する「強気の乖離(ダイバージェンス)」が発生している。加えて、上昇トレンドへの反転を同様に示唆する「陽の包み足(抱き線)」が成立している。また、6月1日以降のサポートラインは維持されている。4時間足チャートの200期間指数移動平均線を上方ブレイクすることに成功した場合、水平レジスタンス73.21ドルのトライが視野に入る。更に上抜けた場合は上昇トレンドが鮮明になる可能性がある。一方、下値として71.89、71、70ドルが候補に上がろう。更に下方ブレイクした場合、下落トレンドが鮮明になり、米国政府からの原油購入観測が高まりやすい67ドルまで下落する可能性がある。
WTI原油価格日足チャート

資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著