カナダにて雇用統計が公表された。7月以降カナダの主要産品である原油価格が上昇基調であるが、カナダドルとの関係に変化?原油価格&カナダドル(対円)の今後の見通しとは



サマリー
- カナダ雇用統計の結果
- 原油とカナダドルの関係
- カナダドル円の見通し
カナダの雇用統計の結果
カナダにて雇用統計が公表された。カナダ中央銀行は6日の金融政策決定会合で政策金利を据え置いたものの、今後の利上げの可能性を残していた。雇用統計の結果は事前の市場予想を上回る結果となり、カナダの労働市場の軟化は緩やかなペースにとどまっていることを示した。カナダ雇用統計の結果を受け、カナダ中銀の利上げ織り込みが進展し、カナダドルは上昇した。
カナダ雇用統計結果(8日)

カナダドルと原油
カナダドルの対ドル、対円相場の先行きを占う上で、カナダ中銀やFRB(米連邦準備制度理事会)、日本銀行の金融政策動向、日本の為替介入に加え、カナダの主要産品である原油価格の動向が重要である。
OPECプラスによる原油の供給制限、原油価格の重荷であったFRBの利上げ終了が近付く中、7月以降原油価格は上昇基調にある。一方、カナダドル(対米ドル)は原油価格の上昇に出遅れている。
これは、現在は、原油価格の動向に比べ、各国の金融政策動向がカナダドルにとってより重要なことを示唆している。しかしながら、原油価格が今後も高止まりした場合、カナダドルが今までの出遅れ分を取り戻すべく上昇する可能性があるが、今後の原油価格、そしてカナダドルの対ドル、対円での見通しとは。詳しく見てみたい。
米ドル/カナダドルとWTI原油価格(逆目盛)

資料:Trading View
原油価格見通し



WTI原油価格は、日足チャートで、2022年6月以来はじめて、9,20,50,200日指数移動平均線が上向きかつ、上から順に並ぶ原油に強気の「パーフェクトオーダー」が成立している。
しかしながら、原油供給制限延長を受け、一時昨年11月から今年3月の原油価格の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント78.6%水準87.45ドルを一時上方ブレイクしたものの、その後反落しており、87.45ドルがレジスタンスとして強固であることを示している。
さらに、原油価格の上昇トレンドの反転を示す「はらみ足」パターンが示現している。テクニカル面では、原油価格に強弱入りまじるシグナルが出ており中立であり、原油の上昇・下落両方のシナリオを想定したい。
原油の需給引き締まり観測や、FRBの利上げ終了が近いとの見方が強まった場合、原油価格の一段高を見込む。その場合、原油価格は、フィボナッチ78.6%水準87.45ドルを終値ベースで上方ブレイクし、心理的節目である90ドルが視野にが視野に入る。
一方、FRBの更なる利上げ観測や、中国不動産セクターに対する懸念が高まるなど、リスクオフの流れが強まった場合、8月10日高値84.85ドルがサポートとして浮上する。下方ブレイクすると、次の下値の目途として4月12日高値83.49ドルをトライしよう。
WTI原油価格日足チャート

資料:Trading View
カナダドル円の見通し
カナダドル円は、日足チャートで、上方ブレイクした場合、上昇トレンドへの転換を示す「アセンディングトライアングルパターン(上昇三角形)」パターン内で推移している。CADJPYは、108.285レベルにあるパターン上限を上抜けると、上昇トレンドに転換し、6月27日高値109.506レベルが視野に入る。
一方、日本の当局による為替介入の警戒感が一段と強まった場合や、原油価格が下落した場合、カナダドル円に下落圧力が掛かることが見込まれる。その場合、カナダドル円は、パターン下限(現在107.175レベル)がサポートとして浮上する。
CADJPY日足チャート

資料:Trading View



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--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著