NZD、NZドル/日本円、AUD/NZD、NZD/USドル、IGCS、テクニカル―トーキングポイント



24日にニュージーランド準備銀行(中央銀行)は金融政策決定会合を開催する。カナダなどの中央銀行が利上げをいち早く決定する中、NZ中銀は金融引き締めスタンスが際立つ中銀の一つである。金融市場では、今回会合を含めてあと2~3回の利上げを織り込んでいる。今後の金融政策スタンスに注目が集まるが、ニュージーランドドルの対円、対米ドル、対豪ドルでの見通しは?詳しく見てみたい。
ニュージーランドドル/日本円:高値更新が視野
日足チャートで、9,20,50,200日指数移動平均線が上向きかつ、上から順に並ぶNZドル高を示唆する「パーフェクトオーダー」が成立している。また、ニュージーランドドル高円安トレンドを示唆するダブルボトムパターンが成立しており、一段のNZドル高が視野に入る。2022年の高値88.166円更新、2015年来の高値が視野に入る。一方、ニュージーランド中銀が利上げ停止を示唆した場合や、金融不安、米国債務上限問題の懸念が高まり安全資産通貨である円に対する需要が高まった際には、水平レジスタンスである85.683円までニュージーランドドル安円高が進展する可能性がある。
ニュージーランドドル/日本円日足チャート

資料:Trading Viewより作成
NZドル/米ドルのセンチメント:ニュージーランドドル高
IGプラットフォーム上での取引に基づいた個人トレーダーのセンチメントを表すIG顧客センチメント(IGCS)を見ると、ネットロング(NZドルを買い持ち米ドルを売り持ち)の割合が低下傾向にあり、NZDに対して弱気な個人トレーダーが増えつつある。IGCSは逆張り指標として機能することがあるが、ネットロングの割合が低下していることは、NZドル高が進展する可能性がある。
IG顧客センチメント:NZD/USD




資料:IG顧客センチメントより抜粋
NZドル/米ドルのテクニカル分析:中立
日足チャートでは0.60841~0.63892のレンジ内で推移している。移動平均線の傾きは概ね横ばいであり、明確なトレンドを示していない。ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が利上げ継続を示唆した場合、水平レジスタンスである0.63892米ドルへのニュージーランドドル高米ドル安が視野に入る。一方、利上げ停止を示唆した場合、水平サポートラインである0.60841米ドルまで下落する可能性がある。ニュージーランド中銀の金融政策決定会合後にレジスタンスもしくはサポートラインをブレイクした場合、新たなトレンドに突入した可能性が高まる。
ニュージーランドドル/米ドル日足チャート

資料:Trading Viewより作成
豪ドル/NZドル:豪ドル高NZドル安
豪州とニュージーランドの10年利回り格差は、一時に比べ縮小したものの、依然として利回り格差は大きい。利回り格差が拡大してきた背景として、ニュージーランド中銀の際立つ金融引き締めスタンスがあった。しかしながら、ニュージーランドでもインフレ鈍化が緩やかながら進展していることに加え、豪州と比べてインフレ率は低い水準である。

資料:Trading Economics
ニュージーランド中銀のみが利上げを継続する状況は長続きせず、豪州とニュージーランドの10年利回り格差も縮小を見込む。10年利回り格差と相関の高い豪州/NZドル相場も、利回り格差縮小に伴い、豪ドル高NZドル安進展を見込む。年初の利回り格差の水準に基づく1.10への豪ドル高NZドル安が視野に入る。
豪ドル/NZドルと豪州・NZ10年利回り格差(豪州―NZ)

資料:Trading View



--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著