米小売大手(ウォルマート、ターゲット、ホームデポ)が決算を発表し、米国GDPの7割を占める個人消費はFRBの利上げ環境下でも堅調なことを示した。米国企業の第2四半期決算が概ね出揃ったが、ナスダック100、NYダウの今後の見通しとは



サマリー
- 米小売大手の決算は底堅い個人消費を明らかに
- 米国企業の第2四半期決算の結果
- NASDAQ100指数、NYダウ指数の見通し
堅調な経済指標、米国債の需給、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策を巡る不透明感を受け、米国債利回りが上昇し、ハイテク株中心に米国株が下落している。このような中、米小売大手の決算が相次いだ。
米小売大手の決算
15日ホームデポ、16日ターゲット、17日ウォールマートが決算を発表した。ターゲットの売上高(収益)を除き、全て売上高・一株当たり利益ともに事前の市場予想を上回る結果を示し、米国個人消費は底堅く推移していることを示した。
小売大手の決算内容



資料:DailyFX.com企業決算カレンダー
パウエル米FRB議長を含め主要中銀トップが集まるジャクソンホール会議を8月24-26日に控える中、米国を中心に今後の金融政策に対するヒントが得られるか注目が集まる。特に、FRBは更なる利上げが実施されるかどうか不確実性が高い。ただし、FRBによるあと1回の利上げの可能性は残るものの、利上げ終了が近付いており、金融市場の焦点はインフレから景気に徐々にシフトしていくことが見込まれる。そのような中、米国GDPの7割を占める個人消費が底堅く推移していることは、米国株にとってプラス材料である。
米国企業第2四半期決算
米国企業の第2四半期決算が概ね終了した。今週決算を発表したウォールマート、ターゲット、ホームデポと同様、好決算が相次ぐ決算シーズンであった。ナスダック100指数及びNYダウ構成企業の大半が決算発表を終えた(それぞれ85、95%)。決算を発表したナスダック100、NYダウの構成企業の大半が、売上高、一株利益ともに事前の市場予想を上回った。
第2四半期決算から、FRB(米連邦準備制度理事会、中央銀行に相当)の積極的な利上げを受けても企業業績が堅調に推移していることが明らかになった。FRBの利上げという重荷が取り除かれつつある中、引き続き好業績が継続する可能性があり、中長期的に米国株のサポート要因になる可能性がある。しかしながら、短期的には、米国債利回りの上昇トレンドが継続する中、NASDAQ100指数、NYダウともに軟調な展開が継続することを想定したい。詳しく見てみたい。

資料:BloombergよりDailyFXが作成。
ナスダック100指数の見通し
ナスダック100指数は、75日指数移動平均線の水準近辺かつ6月26日安値14,687レベルを下方ブレイクする寸前である。下方ブレイクすると、5月以降のナスダック100指数の連続する高値・安値の切り上がりが途絶え、上昇トレンド終了の可能性が一段と鮮明になる。MACDラインは引き続き下向きかつ、シグナルラインを下回っており、ナスダック100指数の下落の勢いは衰えていない。テクニカル面で弱気シグナルが点灯している。更に、重要イベントであるジャクソンホールを控える中、米国債金利の上昇トレンドに変化はなく、更なる下落が視野に入る。4月安値から7月高値までのナスダック100指数の半値戻しの水準である14,328レベルへの下落を想定したい。
ナスダック100指数日足チャート

資料:Trading View
NYダウ指数の見通し
好決算が続いているものの、ナスダック100同様、NYダウもテクニカル面では弱気シグナルが点灯している。RSIは50を下回り、ダウ平均が弱気トレンドに転換したことを示唆している。5月中旬から8月頭にかけてのNYダウの値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント38.2%水準34,498レベルを終値ベースで下方ブレイクし、NYダウの下落圧力が一段と高まっている。米国金利の上昇、FRBの金融政策を巡る不透明感が継続する中、5月中旬から8月頭にかけてのNYダウの上昇の半値戻しの水準34,133レベルが視野に入る。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 13% | -8% | 2% |
週次 | 35% | -16% | 5% |
NYダウ日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著