アメリカの大手ハイテク企業の株価の行方が暗くなっている。米国の株式市場を引っ張ってきた半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価は8月末につけた上場来高値から11%下落。ハイテク銘柄が多く含まれるナスダック100の値動きを下押ししている。一方、電気自動車(EV)大手のテスラの株価は9月に入って6.3%上昇しており、勢いがある。しかしテスラの株価は値動きの激しさも目立つだけに、ハイテク株の先行き不安はぬぐえない。
エヌビディア株は上場来高値から11%安
エヌビディアの株価の15日の終値は439.00ドル。8月31日につけた上場来高値(493.55ドル)から11.1%安となっている。株価は2022年末との比較では約3倍という高水準で、業績拡大への期待が失われたとはまではいえないが、最高値からの下落率の大きさは懸念材料だ。
エヌビディアの株価は他のハイテク株と同様に米国の長期金利(10年物米国債利回り)の上昇に足を引っ張られている。長期金利は15日に約3週間ぶりとなる4.3%台を記録。大手ハイテク株はエヌビディアの前日比3.7%安を筆頭にそろって値下がりした。

こうした中、ナスダック100の値動きもさえない。ナスダック100の15日の終値は15202.40で、1週間前と比べて0.5%安となった。特に長期金利が上昇した15日は前日比1.8%安という大幅な値下がりとなっている。週次での騰落率はS&P500種株価指数が0.2%安、ダウ工業株30種平均が0.1%高となっており、ハイテク株への依存が大きいナスダック100のもろさが表面化した。

テスラ株は好調でも激しい値動きには不安
一方、ハイテク株の中でも好不調の差はあるようだ。テスラの株価の15日の終値は274.39ドルで、8月末比6.3%高。2022年末比でみても約2.2倍となっており、エヌビディアとメタ・プラットフォームズ(2.5倍)に次ぐ上昇率をみせている。米金融大手のモルガン・スタンレーがテスラの株価の目標を400ドルまで引き上げたと伝わった11日には、前日比10.1%高となった。
ただ、テスラの株価は値動きが激しく、2023年4-6月期決算発表の直前にあたる7月19日終値から、8月18日にかけては26%の値下がりに見舞われたこともある。決算発表で示された粗利益率の低下が不安視されたことなどがきっかけで、直近の株価も決算発表前の水準までは回復していない。ハイテク株の中ではアップルの株価も不振が目立っており、ナスダック100の先行きにも不安が漂っている。