米国企業決算は良好な内容が続いているが、本格化している日本企業の決算は?米国債格下げの影響で下落している日本株の今後の見通し。そして、日経平均株価、33,000円台回復なるか。



サマリー
- トヨタ自動車をはじめ、日本企業の好決算続く
- 一株当たり利益は、事前予想と比べて大幅サプライズ
- 日経平均株価の見通し
良好な日本企業決算続く
米国企業決算が市場予想を上回るものが相次ぐ中、日本企業も4-6月期決算シーズンが本格化している。現在までに公表された日本企業決算も、四半期ごとの営業利益で1兆円を超えたトヨタ自動車をはじめ、力強い結果になっている。
日経平均株価構成企業の内、44%の企業が決算を発表した。既に決算を発表した企業の内、約62%は売上高が、約62%が一株当たり利益の事前予想を上回っている。1-3月期の決算と比べ、売上高・一株当たり利益ともに事前予想を上回っている企業の割合は多く、好決算が続いている。

資料:BloombergよりDailyFXが作成。事前予想はBloombergの集計値
事前予想を上回っている企業の数に加え、売上・利益共に事前予想の金額を上ぶれる企業が増えている。既に決算を発表した日経平均株価構成企業全体で、どの程度売上高・一株当たり利益が事前予想から乖離したかを示す乖離率を確認すると、特に一株当たり利益の事前予想からの乖離率が2022年10-12月期を底として急上昇している。事前の市場予想と比べて、大幅なポジティブサプライズが続いていることを示している。米国債格下げといった不透明感はあるものの、良好な企業決算は日本株のサポート要因である。

資料:BloombergよりDailyFXが作成。事前予想はBloombergの集計値
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 7% | 5% | 5% |
週次 | 2% | 6% | 5% |
日本株見通し
日経平均株価(先物)は、日銀金融政策決定会合後、YCC修正を受け一時下落したものの、その後、当面の金融緩和環境維持との思惑から33,000円台を回復していた。しかしながら、大手格付機関フィッチ社による米国債格下げを受け、リスクオフの流れが強まり、日本株も下落、日経平均株価は32,000円台前半で推移している。米国債格下げの影響は注視が必要であるものの、筆者は影響は限定的かつ短期的なものにとどまると見込んでいる(「米国債ショック!米国債が格下げ。金融市場の見通しは」参照)。
米国債格下げの影響が和らぐにつれ、日本企業の好決算が続いている中、日経平均株価は心理的節目である33,000円台回復を見込む。更に、日経平均株価の上昇の勢いが鮮明になった場合、2008年から2021年にかけての値動きに基づいたフィボナッチエクステンション38.2%水準である33,743円をトライしよう。日経平均株価が上抜けることに成功した場合、弱気の「ダブルトップ」パターンが無効になり、日経平均株価の上昇トレンド再開が鮮明化する可能性が高まる。
一方、米国債格下げの影響が一段と広がった場合、日経平均株価は6月中旬以降のサポート32,000円でされるかに注目。下抜けた場合、4月以来の日本株上昇トレンドの終了が明確になり、31,000円が視野に入る。
日経平均株価先物日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著